台風で早速水の事故 女子高生はなぜ死んだか
埼玉県桶川市で16日朝、台風11号の影響で増水した用水路に「人が流された」と通報があった事故で、用水路から女性の遺体が見つかったことが18日、埼玉県警上尾署への取材で分かった。女性は制服姿で白いカッパを着ており、16日朝から行方不明になっている同市内の県立高校に通う女子生徒の可能性が高いとみて、同署で身元確認を急いでいる。
県警によると18日午前9時45分ごろ、流された場所から約2.8キロ下流の同県上尾市領家付近で人が沈んでいるのを県防災ヘリが上空から発見。地上で捜索していた県警機動隊が遺体を引き上げた。
via: 用水路から女性の水死体 台風で不明の女子高生か、制服でカッパ姿 埼玉・桶川 (産経新聞) – Yahoo!ニュース
夏になるたび毎年起きる水の事故。
今年は台風で早速巻き込まれて死者が出た模様で、行き慣れた道もちょっと一雨で様相が様変わりすることを白々と明らかにしている。
水に対抗するための道具というのは色々あるけど、安全性について皆が思ってるほど統一されたものはなく、この夏の水遊びは道具を注意して使ってほしい。
この女子高生を殺してしまったのは、皮肉なことに雨よけのかっぱだ。
かっぱを着て水に落ちたら一発で分る。
ポンチョやかっぱの類が水圧で体にまとわりついたら、少なくとも流れのある水の中では脱げない。
多分、あふれた泥水に自転車か足元を掬われた女子高生が転倒、上下感覚を失ったまま「かっぱを脱がなきゃ」と意識がそこに集中したままパニックになって、足がつかない水深まで一気に流されて底か壁面に押し付けられて死んでしまったのだろう。
危険性が予見される雨の日は、傘で出かけることだ。
目が悪い人はメガネにも困る。タオルやハンカチを忘れずに。(メガネ拭きは水を吸わない)
視界と手足の自由を水中で失ったら助からない。
水遊びで危険なアイテム
夏だと親戚の家に遊びに行ってボートや船で遊んだり、磯遊びに出かけたりすることもあると思う。
大潮のタイドプールには場所によってはサザエもいるし、干底の海を少し素潜りすればアワビも取れる。
大抵の人は、子供連れなら半ズボン、長靴、麦わら帽で遊びに行くんじゃないだろうか。
この中で熱射病よけに役立っている麦わら帽以外は事故誘発のアイテムと言い換えたほうが良い。
まず半ズボンと長靴だけど、長靴と半ズボンの組み合わせの場合、膝小僧がカバーできない。
磯遊びで滑ってコケた時に人間が必ず怪我をするのは、膝、肘、顎、鼻の順だ。
大体は突き指、裂傷、捻挫あたりになる。
磯の牡蠣やカラス貝で出来た裂傷は、まず縫わないとくっつかない。
傷口はギザギザになるし、コケるときは全体重をかけてこけているので、皮膚を突き破って肉を削り取っていく。
(大概はバンソーコーつけてもどうしょうもないのでとっとと外科に行って縫ってもらうこと。)
つまり半ズボンで磯遊びに行くのは禁物ってことだ。
熱いのを我慢してジーンズで行動したほうが無難。
厚手の靴下でアキレス腱の上までしっかり囲うのを忘れずに。濡れて気持ち悪いけど怪我よりまし。
(なにか捕まえたい人は軍手とヤス、平たいナイフも忘れずに。)
次に長靴、こいつを履いているから皆半ズボンになるわけだけど、長靴を履いて海に落ちたらどうなるか知ってるだろうか?
水圧と空気で「ペコッ」とくっついて脱ぎたくても相当苦労しないと脱げない。
つまり泳ぎがそんなに上手くない人が足でみずかきできなくなって溺死の原因になる。
舟に乗る人も滑り止めがついた磯ブーツを履いたりしているけど、あれは釣り船で事故が起きた時の主要な溺死の原因だ。
悪いことを言わないからジーンズとスニーカーで行動することだ。
つま先引っ掛けたらすぐ脱げるゴム長もあるけど、すぐ脱げるゴム長は単にぼろいからそうなってるだけで、ブカブカの長靴で足場が不安定な磯場を歩けるわけがない。
つまり長靴は実は海遊びでははかない方がいいものだ。
夏だとウェーダーつけてバスフィッシングやショアゲームでシーバスやヒラメを狙う人もいるけど、ウェーダーよりダイビング用のウェアのほうが安全だろう。
真っ暗な時間帯に、ぎりぎりまで粘ってサーフの縁まで出て、ちょっとでかい貨物船が通ったらどうなるだろうか。
あっという間に人間の背丈と大差ないうねりがやってきて、水が入ったウェーダーと一緒に身動きがとれなくなる。
個人的には根性を据えて水着で突っ込んだほうがいいと思う。
まさかルアーで自分の体を釣るようなヘボはいないだろうし?
海水浴で大切なこと
この暑さでもまだ水温が上がりきってない昨今、まだ泳いでる人たちはまばらだけど(バイブレーションを引いて、触ったら冷たい程度の水温)、時々見かけるのがビート板や手持ちの浮き具で泳いでる子供の存在だ。
手で持って泳ぐたぐいの道具は思ってるより危ない。
まず、浮き具全般で危険なのは、自分で浮くことが出来ない子も調子に乗って水に入っちゃう原因を誘発することにある。
自分で浮けない子が水に入って、泳いで少ししてパニックを起こす引き金になるのは足がつかない深さに達した時だ。
砂地を踏もうとして足が空振りしたらパニックになってじたばたし始めて、悪ければそのまま溺れ始める。
その時、ビート板やゆるい浮き輪で泳いでた子は、それがすっぽぬけても気づかない勢いて暴れだして、じわじわ沈み始めてしまう。
ビート板の類は船が通った時のうねりで手からもぎ取られたりもするしで、やっぱりプールで使うものだって事をしっかり頭に叩き込んでからお子さんに使わせてほしい。
浮き具の基本線は、それを体に固定できるかどうか、だ。
それも、腰とか尻に固定してもあまり意味が無い。
自分で浮けない子は基本的に体軸のバランス感覚があまりよろしくないので、ひっくり返って余計にどうしょうもないことになってしまう。
基本、この青いラインのところに固定できるか浮き具かどうかが重要な部分だろう。
ここに固定できる浮き具で、浮力が対象年齢向けのライフジャケットの1,5倍~2倍あれば、ガチで溺れて流されても顔を海面にだしたまま最低でも4,5時間は漂っていられるはずだ。
ちなみにライフジャケットのコンシューマー向けのものの浮力で、海に浮いてられる時間はみんなが思ってるより少ない。
空気抜けや水吸いでじわじわ劣化して浮力はかなりの速度で落ちる。
そして浮かぼうとする行動が体力低下で徐々に取れなくなっていって、2時間もすれば「役に立たねぇじゃねぇか」と切れ始めるような感じだ。
カヌーとかカヤックで、単独でアドベンチャーする人は推奨浮力の二倍目安で装備している。
重要なのは公称スペックは話半分で考えることだ。
ぼろいからというのではなくて、安全は用心で買えってこと。
そして海水浴で大事なことは、高所から現場を目視してから入ることと、引き潮の時に泳がないことだ。
わかりにくい地雷みたいな潮もあるので安心ってわけにもいかないけど、高所から目視して潮がよれているか海の色が変わってる線があればそれが離岸流だ。
二枚潮で深場だけが離岸流になっていたりもするけど、海と水平位置では流れの場所が確認できないのでこれはやった方が良い。
高所で目指するときは、周辺で露出してる岩場もチェックしといたほうがいいだろう。
貝がついてない岩場は例外なく潮が動き出したら人間が泳ぎきれるような速度じゃない流れの潮が入っている。
そして花崗岩と砂岩で出来ている岩場は、岩場自体の高低差が激しいことと、近隣の海底にいきなりドン深になっている場所があることを示している。
一回だけ、適当な感覚で「まぁ大丈夫だろ」で入った磯がそれで、潮が満ちてきたので回って帰ろうとしたら帰り道がないことに気づいて愕然としたことがある。
(足場がいきなり切れて暗い絶壁になっていたw)
高場に上って帰りたいのを我慢してずっと釣りしてたけど、慣れててもそうなりかねないものなので気をつけてほしい。
満潮の満ち始めから潮止まりまでなら、もし子供が溺れたり彼女が溺れたりしても、離岸流に入ったりその手の磯場の潮に巻かれない限りはとりあえず岸に帰ってくる。
そして助けを呼ぶときにどの辺に助けに行けばいいかの手がかりを持てるってことだ。
潮の干満の確認と、目視での安全チェックは忘れずに。
逢魔が刻から後は海に入ってはいけない、面倒なことになるよ。
水で死んだら一家崩壊しますよ
まぁ、今更感のある話もあわせてくどくど書いてしまったけど、大抵こういうので事故に巻き込まれるのは若い夫婦の家庭だ。
そしてわかりやすく言ってしまうと、水の事故で子供が死んだらその家は大抵一家崩壊する。
心が壊れたお母さんが新興宗教に入ったり、おやじさんは抜け殻みたいになったり、残った兄弟姉妹は挙動不審なチック症みたいになったりする。
何しろ実例を見たことがあるから疑う余地がない。
子供が水死した3世帯を自分で見てるけど、元があんなに幸せだったのにと思うと唖然とするほど崩壊している。
これは、水の事故死の大半が、装備点検とちょっとしつこいくらいの用心で防げるものだってことと、事故の直接の引き金が魔が差したとしか言えない一瞬の隙で起きることにある。
つまりは「何かできることがあったはずだ」「防げたはずなのに」という後悔と罪悪感で押しつぶされてるってことだ。
だからといって石橋を叩いて渡って、フル装備で死んだら後悔しないのかという話だけど、最後は可能性の問題なので、助けに行けるまでの時間はあればあるほどいいだろう。
という訳で、夏休み前の最終点検は各自ヨロシク。
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