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靴のオットー「もうあかん やめます!」西天満名物の閉店は不景気のせい?

  1. 経済
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大阪を濃縮したような小宇宙がついに消滅

 

「もうあかん やめます!」。そんな垂れ幕を20年以上掲げて営業を続けてきた大阪市北区西天満の靴店「靴のオットー」が2月20日、本当に閉店する。「大阪一安いとうわさの靴店」などユニークなキャッチコピーとともに約40年間走り続けてきたが、店主の竹部浅夫さん(74)が体調を崩し、店頭に立ち続けることが難しくなった。大阪・西天満交差点の角で、不況の荒波にも負けずしぶとく経営を続けてきた小さな名物店がついに姿を消す。

via: 「もうあかん やめます!」掲げ20年超、シークレットブーツも目玉商品…大阪・西天満の名物靴店が2月、ほんまに閉店(1/3ページ) – 産経WEST

 

このいかにも大阪チックなどぎつい垂れ幕、見たことある人も多いんじゃないだろうか。

この手の店がちらほらある大阪ならではの光景だけど、靴のオットーは立地柄通りすがりに見たことある人が多かったと思う。

俺もその口。

 

で、この度ついに閉店ということになったそうで、少しずつ大阪から大阪らしさが剥がれて御堂筋化していくんだろう。

面白くない・・・

 

いかがわしさ しつこさ くどさ 大阪の匂いがする「そういう要素」は毎年のように薄れていく。

ネガティブに捉えられがちなそういう言葉も、大阪に行けばあら不思議。

 

串かつのソースやたこ焼きのマヨネーズのように綺麗に収まって「らしさ」を構成する欠かせない要素になっていた。

昨今ルイヴィトンの店が御堂筋に出来たりして、大阪が無味無臭化している。

 

梅田のはずれのリッツカールトンのロビーみたいな空間と、鶴橋・京橋のようなえげつなさが共存するのが面白かったのに。

 

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ほんとに不景気のせいで閉店するの?基本的な部分に違和感を感じなくなった日本人

 

ところで、産経新聞の該当の記事を読んでいると、まるで不景気に負けて閉店したみたいな言い方をしている。

日頃のアベノミクス礼賛を見てるとお前話が違うじゃねーかと思ってしまうけど、そういう批判を抜きにして、商売と無縁のメディアや役人が考えがちな理由はちょっと違う気がする。

 

一言で言うと、この手の閉店ネタは理由は不景気によって起こってるものではない。

単純に言えば熾っていた火が消えただけの話で、その理由は不景気とかそういうものというより、自然消滅であって寿命というのが妥当ではないんだろうか。

総合的な地方の地盤沈下にしたって不景気を理由とは言い切れない部分がある。

 

この靴のオットーの店主の年齢は74歳。

つまり、みんなもう前線で戦うのが厳しくなったわけなんだけど、今の日本のいびつな年齢構造はそれだけの至って当然の結論を出す当然のステップを狂わせる歪みをはらんでいる。

この間のSMAP騒動が物語るように、80歳とか70代の老人、還暦以上の世代が日本を仕切っていて、今日本では30代や40代は若造の小僧という感じなわけで。

 

そういう社会的な年齢認識から言うと、74歳になって店を閉店することが当然だと思えない認識のずれを生じさせるものらしい。

近頃の社会では老人も働ける社会をなんて言ってるけど、一言で言えば老人が働ける社会になっても老人は働ける体をしてない。

 

嘘だと思ったら寒さが厳しい日に銭湯や温泉に行ってみれば良い。

天気のいい日は老人鍋みたいになっている浴槽から老人の姿は消えている。

寒くて家から出れないからだ。

 

つまり、この靴のオットーは74歳になってもう商売でもないだろうということで商売をやめるのであって、好景気だろうが不景気だろうが、金が儲かろうがどうしようがやめるもんはやめて当たり前なわけだ。

寒くて気分転換の温泉とか銭湯にいけなくなる年齢の人が店に立つことが、どれだけしんどいか考えたらめちゃくちゃ普通の話だ。

 

それよりも問題なのは、後を任せる人がどこにも居ないってことだろう。

(もちろん道端の靴屋に将来性ないと思うけど。)

 

会社や店を続けても後継者が居ないという事例は枚挙にいとまがないし、それで取引銀行を通じてM&Aを模索してる会社は本当に激増している。

不幸なことに(見通しはいまいちだけど)年商数億円で形程度に儲かっているだけの中途半端な会社は、そういう形での店じまいさえすることが出来ないようだ。

ある程度以上の売上ボリュームがない会社は、よっぽど儲かっているか魅力的な取引口座を持ってないと検討の俎上にさえのぼらんらしい。

 

商売を続けている限りは(手形決済や買掛の仕舞がつかない関係で)借金を精算することも出来ず、体はしんどいのに従業員と取引先への責任は厳然として目の前にある。

不景気の悲惨どころか、靴屋のオットーはある意味幸せな閉店といえると思う。

 

しかしこの靴屋のオットーの閉店物語に登場する人物像は地盤沈下する地方の実情を冷酷に描写している。

 

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経営者の年齢別事業承継の準備状況(「中小企業庁 HP」より)

 今に始まった話ではありませんが、企業を投資対象とする投資会社の方とお話しすると、2回に1回くらいは「投資先がない」という話題になります。投資を検討する候補企業がないというわけではなく、良い投資案件があったとしても、それを検討しようとするとほかの投資会社や関連する事業会社との争奪戦になり、需要と供給のバランスに従って価格が上がってしまうので割に合わなくなる。つまり、買収したとしても、最初に投資した資金が多額になればなるほど、売却する時の目標金額が上がっていくため、それを実現するシナリオや手段が見えないというのです。

 裏付けするデータはありませんが、売却したいという会社があったとして、その株式の価値が10億円または売上高30億円を超えるレベルであれば、買い手候補は多数現れるというシンプルな市場原理が働いているようです。売り手企業が一定以上の規模であれば、大手の仲介・アドバイザー会社が売却先の探索から交渉などを一式請け負うため、豊富な情報量をもとに「この売却企業なら、A社とB社あたりが関心を示すのでは?」といった具合に当たりをつけながら、買い手候補の事業会社や投資会社などへ幅広く尋ねて回ります。情報が十分に流通して市場が形成されている状態にあるため、結果的に需要と供給のバランスで価格が形成されます。

 

via: 後継者問題が社会的に深刻化!多くの中小企業が存亡の危機…事業承継に悩んだらこうすべき(前編) | ビジネスジャーナル

 

 

オットーの閉店が物語っている地方の更なる地盤沈下と経営環境の悪化

 

このまま名物店がひっそり姿を消すのはあまりにさびしいと、昨年12月から知人ら有志が「オットー応援隊」を作り、店番を買って出ている。

 今月7日には、有志の一人で、近くで司法書士事務所を開業している小山秀司さん(64)が、竹部さんの似顔絵付きの人形を店頭に設置。台風の影響を避けるため、昨年外したまま行方がわからなくなった例の垂れ幕に代え、「もうあかん やめます。」と手書きした自作の看板も一緒に置くようにした。

 

via: 「もうあかん やめます!」掲げ20年超、シークレットブーツも目玉商品…大阪・西天満の名物靴店が2月、ほんまに閉店(3/3ページ) – 産経WEST

 

オットーの閉店劇で特徴的なのは、取材した記者以外全員60歳以上という点だろう。

これ、商店街のご近所さんが駆けつけて手伝ってくれてる話なわけだけど、つまりその商店街の多くの人が還暦を過ぎてるということを意味している。

 

つまり、地方の地盤沈下とか、一般的に不景気によるという閉店ラッシュは、もっぱら後を任せられる人が居ないということを理由にして起きてることを示唆している。

 

普通に考えて、後を任せられる人さえ居ればみんな多少苦しくても靴のオットーの閉店商法よろしく、しぶとく目先をしのいでいって経営を必ずバトンする。

つまりその点で地殻変動が起きているということだ。

 

まず重要なのは、今の日本でビジネスの中心地は今まで以上に東京に集中していくという点だろう。

IT関係が今後も当分は日本を牽引していくことを誰しも疑わないと思うけど、残念なことに日本のITビジネスは基本的にGoogleとAppleに頭を抑えこまれているのが現実だ。

 

現実にこうしてブログをやっていても、それこそ75%以上の読者は検索エンジンを経由してここにアクセスしてきている。

最近は徐々にアプリ経由に切り替わってるみたいだけど、それはつまりiアプリやAndroidアプリに依存してるってことだ。

靴屋のオットーと大して変わらない規模のネットショップやAmazonストアなんかいくらでもあって、わざわざ路面で商売する意味もなくなった。

 

で、AppleとGoogleの日本法人司令部はどこか?

 

つまり起業するにしても就職するにしても、ITビジネスがしたかったら東京に行くしかない状況は整い続けている。

その状況は地方からますます若者を激しい勢いで吸い上げていくだろう。

東京の住宅事情と局地的な人口密度は今度も悪化の一途をたどるはずだ。

 

そして、経済構造の重要な部分がそうなっているということは、重厚長大産業にも同じように激しい影響を及ぼす。

地方の消費不振なんかにそれは露骨に影響している。

 

今、製造系の重厚長大産業でも優良企業は実質的に無借金企業である場合が多い。

なぜそうなっているかは実に単純な話で、世の中のトレンドの移り変わりが早すぎて、借金をして設備投資をする時代ではなくなったからだ。

優良企業≒無借金企業というのは、それを見切る能力があったかなかったの違いが違う形で現れてるだけ。

(むしろそういう東京やトレンドと無縁に見える会社こそ、東京にアンテナ的な機能の支局を設けて経営判断を行う必要に迫られるだろう。)

 

リーマン・ショック前に設備投資を大規模にしていた製造関係をみんながその目で見ていると思うけど、今彼らの大半が経営の悪化→リスケ申請orADRを経て、民事再生法の申請まで逝ってる事例が激増している。

今現在の景気のトレンドの波は、4年位の周期で小さなバブルと激しい不景気を繰り返している。

 

最低7年はかけないと償却できない商売は借金をする余裕なんかあるわけがない。

そして借金をしない重厚長大産業は、粗利益率が15%もないようなただのしょっぱい会社にすぎない。

彼らがしなくなった借金がそっくりそのまま消費不況に反映された。

 

ここらへんは経済政策の失策とはいえないし、問題を見出すのなら事実としてそう動いているトレンドに気づくことができていない社会そのものに見出すしかない気がする。

 

そしてこの時代の変化は、靴屋のオットーさんにかぎらず、色んな所の大将や社長さんの意識を変化させた。

昔後継者に困らなかったのは、後を継いで真面目にさえやっていればとりあえずなんとかなっていた現実があったからだった。

 

今はそういう時代ではなくなったってことを経営者であればあるほど痛いほど感じてると思う。

今の時代に才能や器のない奴が経営者になることほど不幸なことはない。

 

たとえ才能や器があったとしても、ハンデを背負って成功することは昔ほど簡単ではない。

激しい景気の波は、いっときの成功や低い粗利からコツコツためた会社の金を一発でしゃぶりつくす激しさを伴っている。

 

 できれば子供に跡を継がせたくても、それをやらせたら子供の人生を破壊しかねないということをみんな痛感してるから無理して都会から子を呼び戻さなくなった。

実際、真面目に評価をやっちゃったら経営者だの商売人だのを自力でできるようなやつなんかそんなに居ない。

サラリーマンでもやらせとくしかないと親として判断するのも無理ないだろうと思う。

 

かくして地方の企業と商店街の高齢化はどんどん進み、80歳過ぎて誰かに後を任せる準備が完了してる人が2割も居ない国になってるわけだ。

単純に景気の悪化というよりは経済構造の複雑化というべきではないのかと思う事例は増えたし、それは日本がスタンダードを作っている業界が激減してることを物語っている。

 

常にシンプルな理解で有利な立場を確保できるのは、スタンダードを作る側だ。

スタンダードに従う側は作る側の思惑に振り回されて右往左往するしかない。

 

いかなる屁理屈を弄したところで、何かで日本が市場占有に成功しないかぎりはこの流れは変わらないだろう。

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gundariネトウヨ Recent comment authors
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ネトウヨ
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ネトウヨ

商店街を企業化すればいいと思うんだよね
すべての店を経営傘下において雇われ店長サラリーマン置いてって感じで
実物で買いたい層は絶対いるしamazonと違って実コミュニケーション取れるのはでかい
問題は買収に掛かる資金に感情的なしこりかなあ