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物価と貨幣 20世紀型都市生活への最終警告

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物の値上がりって消費税とアベノミクスのせいだけなん?

 

少し前からネットで見かけていた「量が少なくなって値段が上がった、アベノミクスバンザイ」みたいな批判とも愚痴ともつかない話。
まぁ確かに円安を狙ってやってたら比較的早くにそうなるのは事実で、アベノミクスがスタグフレーションを後押ししてるのは消極的な事実ではあると思う。

でも現実的には日本が、というよりダウンサイドにいる国は遅かれ早かれそうなるのは避けられず、そしてそもそもの値上がりの(短期的な)原因は日本のこの50年単位の国策の誤りでそうなったのだというのは外してはいけない事実であることは忘れてはいけない。
そして偶然にも地球的な大規模な変動、例えば新興国の成長と成功、人口の増加と日本の転落、昔からの国策の結果的な失敗が一致してしまったゆえに、これは政治が変わったらどうにかなるとかそういう問題では無いってことを理解しなければいけない。
原因を正しく理解することでしか解決不能な問題はもうすぐ貧富を問わずほぼすべての人に降り掛かってくるし、かなりの荒療治以外にそれを解決する方法もなく、そしてそれはかなり数が限られた一部の人にしかできない事であるという絶対的な前提も悲しいけど理解するしかない。

 

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沿岸漁業とじゃがいも農家の現在が示唆する日本の食糧事情

 

このところの物価の上昇の大半の話がポテトチップとか俺からしたら全くどうでもいい食い物の話ばかりだし、どうでもよくない食い物は基本的に自分で捕獲して食ってることが多いので記事にも話題にもしなかったけど、物価の上昇は激しい。
(ヒグマとか牛を討ち取ってこいは無理だけど、猪とか鶏程度の動物、重さ50kg以下の魚だったら自弁して終わり。)
そしてその目安はコンビニの陳列棚ではなく、スーパーや魚屋の中にある。そして近頃は目に見えて驚くほど物価は上がっている。

たこ、海老、釣り物の魚と一昔1000円で買えていたものが1500円に、300円そこらだったタコの足が7-800円に。1,5倍とか2倍が普通規模の値上がりを示している。
ポテトチップは食べる習慣がほぼないので何とも言えないけど、まぁ量が減ってるのはそうなのだろうってことは袋を見ただけですぐわかる。

 

どちらも共通しているのが生産高の減少。
漁業については漁師の激減、じゃがいもに限らず農家の方は国策的放置で災害のたびに再起不能になった農家が出て生産高も作付面積も減っていってるということだろう。

これらの参考情報を人口推移の時系列から並べ直すと、かなりの惨状であることが見て取れる。
農漁業ともに(農業はじゃがいもで比較)昭和59年-61年が生産量のピークで、人口は当時で1.21億人。

人口ピークの2010年で1.28億人、生産量はじゃがいもでピークから4割強減少、漁業は50%強減少と相当に生産量を減らしている。
これはある年に突然減ったとかそういう話ではなくて、常時恒常的に減り続けていたもので、生産量減少は国策的な減少だったのと同義であるとしか言いようがないという事だ。

 

そして全年度を通じて異常だったのが、その間特に値上がりを体感して騒動になったことがほとんどなかったってことじゃないだろうか。
生産量は減って人口は増えるのに何も値段が上がっていなかった。
その結果が生産者に何をもたらしていたのかは↓PDFの88P目を読んだらわかる。
年収200万で都会の知らない人に一本釣りのアジを400円で買い叩かれて(売価が1000円とかな)、タコを150円で売ってという奴隷のような生活を漁港の住人達に強いてきた。

結果的に↑水産庁資料100P目の通り平成元年には2134組合あった漁協も平成26年で966組合という信じられない激減っぷりで、割に合わないことを好き好んでやる奴は居ないということを証明した。
要するに今まで皆が安く買うことに慣れすぎていて、自分の利便性のツケを他人におっかぶせてきて当たり前だと思ってたことが、そろそろ通らなくなってきてるってことだ。

今更他のことも出来ないし買ってくれる値段で売ります、という時代が終わりかけていた頃に安倍晋三が登場したからいかにもアベノミクスのせいのように見えているけども、根本的なところで消費しか知らない人のわがままが通用する時代が終わり始めていただけだったのだということを、本件でまず理解しなければいけないことの筆頭事項に挙げるべきだと思う。

 

消費税がどうとかではなくて、人口と生産量のバランスはとっくに崩壊しているのが現実で、今後それが回復することは無いってことは国内事情の前提に必ずおかなければいけないということだ。
そして掘り下げて考えておかなければいけない重要事項として、現状は生産高と就業者数のバランスから見る限り生産者にとって満足な価格を交渉することも出来ない一方で、消費者が満足して買える値段でも出せないという両方にとってかなり都合の悪い状況であって、それは今後も何十年単位で続くのだろう。

後述する通り、今までそれは輸入でなんとか消費者側の都合だけ埋め合わせられていたけど、今後それも確実に無理になる。

生産高と環境の問題については他の記事ですでに書いているのでそっちを読んでもらうとして、ただの需給関係に絞り込んでもかなり悲惨な現状だということだ。
それが政治や消費者の意識改革で全ていい方向に解決できたとして、実現できる状況は↓の漫画で描写していた時代が精一杯だろうという予測しかしようがない。
外食が安いおかげでどうにか維持できてた都市生活にとって致命的な時代が目の前に待ち構えている。

私達日本人の大半は、地球がこの最近起こした変化を根本的なところで理解できてない。価値や物価、貨幣の新時代のスタンダードで取り残される側であって、全体とか社会という規模で有効な策を打ち出して打開することはおそらく不可能だと思う。

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今までテレビドラマで見てた(俺は見てないけど)絵に描いたような都市型生活はおよそ10年、長くて15年で多分維持不可能になる。東京は乞食の巣窟になるだろう、今だって似たようなもんだけど。

 


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スコッチの価格が示す国際的な経済変動と人口増加 日本人と弱小国家が直面する問題

 

上述までの問題は、長年日本は輸入で埋め合わせてきた。
日本は経済強者だったしいま現時点でもまだ上位陣営に属しているので、後少しの間はそれで通用すると思う。
その証拠に沿岸漁業に依存している水産物の値上がりの一方で輸入でどうにかなってるものの大半はまだ大して値が上がってない。
(水産輸入物で値上がりしているのはサーモンが筆頭かもしれない。ハラスとか海外で食べる人が少ない部位はあまり上がってないのもそういう事なのだろう。)

これが埋め合わせられなくなったらどうなるのかを想像するのに今現在最適な素材といえばスコッチだろう。
7年くらい前までスコッチを愛好してた人にとって、サントリーの響はかなりどうでもいいブランドで、わざわざ好き好んで飲むのは根っからのサントリーファンかサントリーの社員くらいなもんだったし、贈答品でビンテージものでも貰ったときくらいしか喜んで飲むってことは基本的にない、とんかつ定食のお新香みたいな扱いの可哀想なウィスキーだった。
(味は悪くないのにお値ごろ感が存在感を希釈していた。)

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で、それが今やこれ。
この結果、今まで一人で座って2時間で3-5万だったクラブとかの飲み代は1,5倍とかになった一方で、クラブの経営者は酒の仕入れが上がって値上げしても全然利益につながってない結果を産んでいる。

昔から好んで飲んでいた銘柄は、ハイランドパークの25年だった。
一番飲んでた頃は週に3-5本ネオン街で飲んでいたけど、往時はクラブでボトルおろして4-6万円。自宅用に樽出し(アルコール度数が52度以上ある)の酒を買っても1万6千円前後だった。
これ、今はネットで最安値のところを探しても5万円を超えているし、そもそもの段階で樽出しの酒というものは市場から消滅した。

長らくインポーターがサントリーに変わったせいだと思ってたけど、酒販会社の社長から原酒が市場から消滅しているという事実を聞き及んで納得した。

なぜ原酒が消えてしまいには響ごときが値上がりするのか?
要するに中国、韓国、ベトナム、東南アジア諸国が豊かになって、彼らも近頃ウィスキーを好んで飲んでいるからという非常に単純な理由だったわけだ。

どうもアジアの人間はあまり強い酒を好まないという先入観に囚われすぎていたけど、好みは変わったってことだ。
景気が上向きな人々にとって2万円しない酒が6万円になるのは許容範囲の誤差である一方、ビジネスマンをやめてしまった俺みたいなのにとってはめまいがするような金額差であって、大きく拡大したらそれは他の食品や嗜好品でこれから同じ目にあうほとんどの人にとって悲惨な結果をもたらすことを示唆している。

アップサイドにとって問題ない誤差は、ダウンサイドにとって壊滅的な悲惨な苦しみをもたらせる。
日本は今ダウンサイドだし、人口シェアでも弱小国家と言っていい存在になりつつある。今後輸入側の立場として強く出られる可能性はどんどん下がっていく。
油脂類、エビ・カニ、小麦粉そば粉、芋、全ての食物は同様に値上がりしていくだろう。

全体として対策することが無理であるという見通しはこのようにはっきりしていて、これを打開することができるのは個としての対策の他ありえないだろう。
早晩維持できなくなることが馬鹿でもわかる都市型生活を放り捨てて、最終最後自給自足できる環境に転居する他ないのではないかと思う。

そして今からの時代のサバイバル術を抜本的に立て直すしか無い。
この記事のアイキャッチ画像のアマゾンレビュー。
都市型生活しか知らない日本人は、食い物がないとか手に入らないってことを甘く見すぎている。
たとえ大自然の山の中に住んでいたところで、適切な準備や知識が無い限り腹一杯で日々を過ごすことは無理である。
参考:「あの水は餓死水や」と老爺は言った

こうした予測・想像が顕在化した時に想像を絶する騒動がそこらじゅうで巻き起こるだろう。
戦争、内乱の類から安全に過ごしたければその手の話から絶縁した場所に移住するに限る。
(俺も自分の予測に忠実に逃げることに決定した。状況の打開はもう無理だと思う。)

その次に今後も文明人として生きていくために、今まで我々が理解してきた価値や価格、貨幣に関しての常識は基本的な部分から塗り替える必要がある。

 

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