リスカよりヤバイ荒らし行為。小市民ぐんだりに学ぶ荒らしのマナー

試験に出るかもしれない荒らしのマナー

職業柄というわけでもないが、筆者のもとには年3,4回のペースでネット関連の法律相談が寄せられる。資格もないしネットの知識も人並なのだが「アイツ、詳しそうだからちょっと聞いてみよう」という程度なのだろう。

ひと通り話を聞いてからしかるべき専門家を紹介するのだが、大体においてトラブルの原因となった個人の主張が面白すぎる。

コメント覧に誹謗中傷を書きなぐる「荒らし」はもちろん、通販や情報サイトに無理難題をふっかける「クレーマー」も日本ではない場所で生まれ育ったんじゃないかと疑ってしまう非常識っぷりで、毎回弁護士さんや警察の方に笑いを提供してくれる。

荒らし行為というのはリストカットと同じく、ストレスのはけ口であると筆者は考える。

そうした行為は頭ごなしに否定すべきものではなく、話し合いや別の方法での解決を模索するのが正道である。しかし残念なことに荒らしというのは聞く耳を持っていないしこっちも親じゃないんだから構ってばかりもいられない。

年明け以降、本ブログには鮎川典厩と小市民ぐんだりという典型的な荒らしが出現した。この二人の失敗を挙げることで後続の荒らし諸君、荒らしとは言えないまでも人様のサイトで感情を吐露したい方が何かしら学んでいただけると幸いに思う。

不思議過ぎるネット民の振舞い

本稿執筆にあたって、本ブログの管理業者と知人の司法書士に簡単なインタビューを行った。いずれもネット関係の訴訟に当事者として関係した経験の持ち主である。

両者が同音異口に語るのは「荒らしをやるヤツはどうして事例から学ばないのか」「Wikipedia あたりの知識で安心して好き放題やるわりに実際の審判になると泣き出すヤツも多くて、逆にそいつの将来が心配になる」ということだ。

訴訟提起の容易さを知らない荒らし君

荒らしが告訴される事例というと威力業務妨害が最も多く、次に多いのが名誉毀損。報道では脅迫も多くみられるが、脅迫は即警察案件なので表に出やすい。実際の件数でいえば、威力業務妨害が最も多いだろう。

この威力業務妨害だが、訴訟に持ち込むのは比較的簡単で勝訴の見込みも高い。極端な物言いだが基本的に被害者が「コイツのせいで業務に支障をきたした」といえば、まず確実に訴訟が実現するからだ。

刑事の威力業務妨害、電子計算機損壊等業務妨害は警察も動くのでアレだが、民事での告訴はまず提起出来る。裁判は「客観的に物事を判断する」行為なので、そこまでのハードルは低い。

にも関わらず、そこらのコピペを貼り付けて「この定義からすると訴訟は無理ですね。ハッタリ乙」とか煽るおバカさんが多いことは読者もよくご存知だろう。その書き込み自体が後で裁判官の心証を悪くするというオマケもあるので、二重におバカだ。

あらためて書いておこう。勝ち負けは別にして訴訟の提起自体は難しいことではない。「出来ないだろう」とタカをくくっていたら、ある朝警官が来たり日帰り不可能な裁判所からの通知が届いたりするというのは決して大袈裟な話ではない。

意外に緩い開示請求

訴訟提起に必須となるのが発信者情報開示請求。昔はともかく、2017年現在では多少の根性があれば大体通るということも意外に知られていない。

威力業務妨害の場合には警察が味方になってくれるし、プロバイダに直接請求してもよい。封書一本で開示されるほど甘くはないが、根気良く手続きを踏めばまず問題ない。

当たり前の話だが世間は荒らし行為や荒らし本人には冷たい。「大企業系のプロバイダが一発で開示してくれることは少ないのですが、裁判所を通して開示されなかったことはない」というのがさきの司法書士の言だ。

「そもそも、裁判という手間を覚悟するに十分な状況がありますから。プロバイダも揉め事は当事者間でやって欲しいのが本音でしょう。キチンと手続きを踏めば、荒らしの情報ぐらい教えてくれますよ。あ、ちなみに相手が開示請求に同意しなくても、裁判所経由なら大体通りますから、拒否しても時間稼ぎにしかなりませんね。」とのこと。

IPアドレスがバレてる時点で、相手が本気になったら匿名どころか公文書に残るレベルで晒されるということは胆に命じておいた方がいいだろう。

時間がかかる裁判の手続き

「法的措置を検討します」というレスが出るとしばらく大人しくなる荒らし君は多い。やはり誰しも裁判沙汰は面倒なのだ。しかし、半数ぐらいは一週間ぐらいすると復活してくる。「裁判とか脅しやがって」という反動なのだろうか、より苛烈な悪口雑言を振りまくことが多いし、どこからかコピペした法律知識（笑）を振りかざす場面もよく見られる。

このへんが実務に疎い者の悲しいところで、言いたい放題にストレスを発散している間にも着々と手続きが進んでいる例は多いし、実のところ「復活したことが訴訟を決断する契機となった」という話も聞く。

開示請求から訴状の作成という作業は結構な時間がかかるし、裁判所が訴状を受理してからもちょっと長い。ニュースなどで訴えられた側が「訴状を読んでいないのでコメント出来ない」とか言っているのは本当の話で、被告に訴状が送られるまで早くても一週間ぐらいかかる。これは刑事告訴で警察が動くまでの時間も同様で、告発してすぐに逮捕状が出ることはまずない。

徹夜でモリモリ書き込んだ寝入りばなに警察や郵便局の人にたたき起こされるというのは、実際にあることだと思っておいた方がいいだろう。

小女子事件という事例に学ぶ。「悪ふざけ」では絶対に済まされない

裁判というのは水もので、必ず勝つ/負けるということは出来ない。歴戦の法曹関係者でもそうだというのに、荒らし諸君は「世の中には反訴というものがあってね。バカなお前は知らないかw」と煽りと証拠を積み重ねてくれるが、小女子事件の顛末をご存知ないようだ。

特に賢くなくてもご存知の方は多いと思う。2ちゃんねる上に「丹後小学校で小女子を焼き殺す」「おいしくいただいちゃいます」という書き込みをした者が逮捕、懲役1年6ヵ月、保護観察付き執行猶予3年となった事件だ。

書き込んだ本人が「小女子というのは小学生女子じゃなくて、こおなごという魚の名前」「実際にやるつもりはない」と掲示板上で弁明したにも関わらず逮捕。一見して悪ふざけと見てとれる行為について西野牧子裁判官は「いたずらではすまされない卑劣な犯行。他人の痛みを想像しない無神経さは看過できない」と断罪した。

この判決について奇異な印象を持った方も多いと思われるが、裁判のうえでは決して珍しい事例ではない。この場合、第三者がどう感じたかよりも、標的となった小学校が脅威を感じ、実際に集団下校などの対応をとったという事実の方が重要だと解されたと思われる。

そうした傾向のある係争について、軍荼利氏が「荒らしのせいでコメント覧を監視する必要が出たため通常の更新作業が出来なくなった」「外注で更新の体裁を整えたが、平時の収入には至らなかった」と主張すれば裁判官はどう考えるか自明の話だ。

小女子事件の西野牧子裁判長は少し感情的な傾向があると筆者も思うがもっと極端な裁判官はほかにもいるし、そういう裁判官が悪意1000%に見える荒らし君をどう扱うか考えたらWikipedia のコピペで知ったか振りをしている場合ではないだろう。

実例でみる荒らしの誤算

本ブログで一月に公開された記事内に、二人の荒らしが登場する。軍荼利氏がどうするかは知らないが、いずれも損害賠償待ったなし、刑事告訴で執行猶予がつくかどうかは民事訴訟の結果次第という素敵な事例である。

二人とも始めは困った粘着レベルだったのに、いつの間にか訴訟レベルの荒らしに育ってしまった。

ここで、二人の何がよろしくなかったか見てみよう。なお、当該記事のコメント数は1500件近くに及ぶ。逐一読まれる方はゆっくり時間を取ることをお勧めする。

教科書通りの荒らし、小市民ぐんだり

はじめチョロチョロというか、小市民ぐんだりは始めから威力業務妨害にあたる程の傑物だったわけではない。迷惑な粘着で執拗にコメントを繰り返す様子は気持ち悪かったが、それも一定のラインに留まっていたと言える。

彼がミスったのは一点。「過ちを正す態度から周囲を罵倒し始めた」ことに尽きる。

そもそも、同じ内容の連投行為自体がギリギリのラインだというのに、軍荼利氏以外にも矛先を向け出したのは悪手としか言い様がない。

彼も大方の事例と同様、訴訟という言葉が出てしばらくは息を潜めていたものの10日ほどで復活して前にも増して熱っぽい発言を繰り返し出した。だから、そういうの不利になるだけなんだって。

実際のところ、ここまで来たら彼に逃げ道はない。「開示請求を拒否すれば自分の個人情報は守られる」と思いこんだあたりが彼の分岐点だろうか。かわいそうだとは思うが人様のサイトでやりたい放題やった責は社会的に決着をつけるハメになるだろう。

そんな彼に救済があるかといえばないんだけど、ひとつだけ「おまじない」がある。

そのことで軍荼利氏が気分を変えたりはしないだろうし、訴訟の大筋が変わることはないが「あ、オレ小市民ぐんだりと同じパターンかも。」という心当たりのある方は「同じサイト上での誠心誠意の謝罪」をしておくことを強く推奨する。

訴訟というのは「勝ち負けに関わらず覚悟を決めた」人の行為なので、謝罪ぐらいで取り下げられることはまずないが、裁判官の心証はほんの少し良くなるかもしれない。「反省の念」というのは重要な要素なので、これから荒らし行為に及ぶ人も覚えておくといいだろう。

数え役満。あゆかわ鉄板伝説

小市民ぐんだりよりも連投し、小市民ぐんだりよりも中傷誹謗に明け暮れた荒らし。それが「あゆかわ」こと鮎川典厩である。以前の記事でも取り上げたが、コイツの異常さは鉄板。

始めは慇懃無礼な態度を固辞していた小市民ぐんだりに対して、のっけからケンカ腰で朝から晩まで誹謗中傷の連投を繰り返した。

これだけでも十分なのに、「ちくびーむ速報」というエロサイトの管理人でロリ少女のエロ画像を無断転載しまくっている。名前が「ちくびーむ」で内容が少女の半裸ないし裸体画像メイン。裁判官どころかご近所、親御さんの心証まで最悪の物件で、よくもまあ人様のサイトで名乗りをあげたものだと感心する。

「被告人は自身が運営するちくびーむ速報において違法にわいせつ画像を転載していること指摘された際に少女性愛を擁護する発言を繰り返し、また他の閲覧者に対しても威嚇するような発言を繰り返した」・・・書いてて腹筋が壊れそうだ。

エロサイトも二次元ロリ画像も悪いとは言わんが、その肩書でもって荒らし行為はいかのじゃないかと、他人事ながら心配してしまう。裁判の結果ではなくて、あゆかわ自身の精神状態が心配だ。

あゆかわの伝説はさらに続く、モテ自慢、クルマ自慢が度を過ぎたのだろうか、リアル知人からのツッコミが入り出したのにも噛みついて、あげくに違法性が類推されるサイトの制作会社までバラされてしまった。

軍荼利氏が削除したのでいまは見られないが、会社名から電話番号、果ては関連会社まで書き込まれて「オレもちくびーむ速報みたいなサイトを作りたい」という電話が制作会社に舞い込んだらしい。

書き込みのタイミングから自演ではないかという話もあるため、その気になったら制作会社から訴えられるかもしれない。荒らしに来て関係ない会社から訴えられかねないという脇の甘さはちょっと半端ではない。

実際「関係ない会社に迷惑をかけないで」と書き込みはしていたものの、その三倍くらい電凸を煽るような書き込みをしていたわけだから、見ている方がハラハラした。

本ブログの管理業者曰く「自演だと断定出来るログはなかったが、自演でないとも断定出来ない。」とのことだが、自演でなくここまでの事態を招いたのであれば、天が与えたもうた才能のひとつであると言っても過言ではないだろう。

さて、この鮎川典厩。当ブログのコメント覧には書き込まなくなっているが自分のブログではやる気まんまんの誹謗中傷を更新し続けている。

確か、はじめの方は「もう手をひく」「念のためページのスクリーンショットを取って法的対応に備える」と書いていたのだが、コイツもご多分の例にもれずしばらくしたら復活した。今度は自分がスクショを取られる立場になったわけだ。

荒らしのセオリーを踏襲しつつ、想像を絶するレベルで地雷を踏んでいくあゆかわの先々が気になって仕方ない。

訴訟とかいう以前に、Web上に居場所がなくなるんじゃないかとすら思う。

正しい荒らしになるために

荒らし行為を推奨するつもりは微塵もないが、冒頭に書いたとおり荒らし行為がストレスのはけ口だと仮定すれば、それは無碍に否定されるものでもない。

小市民ぐんだりのように嫌われて、鮎川典厩のように疎まれ、笑われても人様のサイトでチャチャを入れるなら、最低限の保身は考えておくべきだろう。リストカッターだって、本当に動脈を切り裂いたりしない。

内容はいたって簡単。無闇な連投を控え、一般的に中傷と取られる言葉を慎み、相手が不快に感じたと思えば素直に謝る。それだけだ。

「それが出来ないから荒らしやってんだよ」という意見はもっともで、そう言われると返す言葉もない。しかし同時に度を越した行為は他人や社会に対する甘えである。他人が不快になる分、甘えの度合いはリストカッターよりも大きいということは自覚したうえで荒らし行為に励むべきだろう。

リストカッターを罰する法律は少ないが、荒らしを罰する法律は多く存在するし、甘えを許容しない社会は荒らしには冷たく厳しい。

いざ訴訟になって慌てふためいたときに受任してくれる弁護士がいなくて法廷で泣き出すというのも、荒らしの末路としてありふれた光景であることを記して、本稿を終わる。

沙門アニメ君

40代、筋金入りのアニメオタク、独身。
自暴自棄なリビドーを駄作にぶつけ痛罵痛飲する毎日