今回の選挙は、いずれは「改憲解散だった」と言われるようになるというのは今日の朝記事にしたんだけど、改憲自体は悪いことか?といえばそうではない。
改憲というのは、憲法という国の基礎を司るもので、時代に応じて修正していくのは大切なことだ。
で、わかりやすい話なんだけど、交通事故を起こした時、現場で車を修理するだろうか?
大抵、レッカーで引っ張って自動車工場で修理するよね。
これが基本。つまり、「改正や修正は落ち着いた環境でやるべし」これが鉄則なわけだ。
では、今落ち着いた環境か?
振り返れば日本が最も落ち着いていたのは1980年~95年あたりだろう。
豊かで、軍事的優位もある程度あり、財政も健全で政党もそれぞれ勢力を持っており、国民の平均的知能も今より幾分高かった。
ここが大事なのだ。
最も落ち着いて景気が良かった頃、「憲法を改正しなきゃいけない」必要性をマジで感じていた政治家は誰一人居なかった、これが事実なのだ。
この事実に直面した時、あるひとつの疑問に誰しも気づくんじゃないか。
つまり、憲法のどの部分が一体どうマズくて、それによって幾ら損するのか?
決算をしなければいけない。
決算なしの組織運営はろくな結果を招かない。だから大人が集まって作った組織では会計報告や反省会を設けることで事後の発展を図っている。
国家としての日本も同じように決算が必要だ。
憲法は経営方針、国民は一口株主
憲法を経営方針であるとするならば、国を会社と見立てた場合国民は一口株主になるんだろう。
主権在民という考えはまさにそういうことだ。
この経営方針というのは実に重要で、会社の株式のシェアで過半数が押し付けてきたものについて経営陣は拒否権を33,7%以上のシェアの保有によって発動できる一方、66,7%以上の賛成をもって変えさせることも出来る。
これは大体、世界の証券市場の常識ともいうべきシェアで、株主のその場限りの意見から必要に応じて将来を見越した経営の独立を維持できる余地を留保する一方、根幹からの天変地異にも等しい変化から株主を守る力も持っている。
例えば51%が賛成で49%が反対する事案を押し通したとしても、その後のゴーイングコンサーンに多大な悪影響をはらむことは誰の目にも明らかだ。
つまり3分の2の意味合いってのはそういうことだ。
経営方針の独立性を守るためのルールシステム、これは絶対な存在といえる。
安倍内閣の改憲は”経営方針”の変更か?
この改憲の目論見の部分が、改憲というか国家のルールシステムの変更ではないか?つまり目論見の行き着く先が危険だというわけだ。
経営方針の変更の議題はそりゃまじめに討議する必要があるんだろうけど、例えば株主総会で、ある雇われ経営者が
「私は他の誰より愛社精神が強いので終身独裁で君臨しようと思います」
「株主の皆様の議決権を無力化する議案を提出しようと思います」
こんなことを提出されてまともに取り合う株主が居るんだろうか?
日本の場合一口株主のメジャーシェアとはいえない迄もかなりの人数がそれを聞いてポジティブな方向で腰を浮かしている。
つまり、冷静とはとても言えない環境で、正気の沙汰とは思えない改正議案を提出しようとしている、この事自体が危険なわけだ。
憲法九条というまさに経営方針の部分ではなく、九十六条改正はその危険性をはらんでいる。
過半数システムの行く末はなかなか読めないもので、だからこそ少数株主保護のための拒否権というシステムをルールシステムの根幹においている。
アメリカや多くの民主主義の国で「拒否権」を元首や首相に持たせているのはそのためだ。
例えばナチスみたいな政党が出てきた時に、いくら数の力で我田引水を測った議案を提出しても最後の一人が法的に抵抗できる含みをもたせている。
このルールシステムの転覆が孕まれた改憲を目論んでいる、基本的なこの事実を軽視してはいけない。
日本人は九条で何を失ったのか?
憲法九条によってまるで親まで失ったかのような事を吹聴する人が大変多い昨今、この憲法の決算を真面目にやって損益計算表を日本人は直視するべきだろう。
基本的な事実として憲法九条は以下の様なメリットを日本人にもたらした。
ちなみに、今回摘示している憲法九条は自衛戦争を可能にした1959年末の最高裁による最新の解釈の憲法九条に基づいている。
憲法九条のプロフィット
- 戦後の防衛投資が冷戦の間で、日米安保条約もあり非常に安くついた
- 浮いた予算をインフラに投資できたおかげで、起伏の多い国土でロジスティクスから海運まで諸国に類例を見ない発展を遂げた
- その余波で経済はおりからの日米貿易の向上によって世界史に稀な発展を遂げた
- どの国でも問題になっている農村部の貧困は、発展に伴う土地需要の暴騰で解消された
- 軍事投資していれば確実に巻き起こっていた東亜諸国との対立・軍拡競争も基本的には起きなかった
- 結果的に安くついた予算で福祉まで世界有数の裕福な国民生活が実現された(1998-2003年までの間に凋落)
まずこの辺りまでは誰も異論がないだろう。
では九条による赤字は何だったのか?
憲法九条の生み出したロス
- 防衛費に投資をしなかったおかげで先端科学の研究が発達せず、加工貿易という旧態依然の経済体制は打破できなかった
- 自主防衛に必要な軍事インフラが発達せず、全てアメリカの借り物の上で運営するシステムばかりになった
- 戦争の現実を知る人間が加速度的に減少し、リアルな感覚で判断をできる有権者が不在になった
つまりこんなところだろう。
この項目の冒頭で指摘した通り、竹島や尖閣に問題ついて憲法九条に責任転嫁する政治家が多い一方、最高裁は自衛、つまり領土防衛の交戦行為を認容している。
これらの島を失った、失いかけているという問題について、自衛権を発動しなかった政治家の責任なのであり、関連法案の整備を行った政治家の怠慢のせいだ。
今回こうして項目別に改めたのは、全く別な要件を持ち込んで決算を粉飾するものが多いからだ。
決算の総括として、憲法九条は多大な利益を日本人にもたらしており、反対に先端技術の枯渇による先行きの閉塞と、自主防衛にどれほど時間と金をかければいいのか検討もつかない防衛の怠慢という置き土産を残していった。
しかし現状の暮らしをどうにか維持するという前提で言えば、やはり九条で日本人は利益を得ていたし、今後も利益をもたらすのではないかと思う。
では日本は自主防衛できるのか?
こうした決算をアナリストとしてレポートするのであれば、ゴーイングコンサーンの付記の部分にこの項目を持ってくるしかないだろう。
結論から言えば日本人は自主防衛する能力を既に持てなくなった。
その地力を現在経済的地位の低下で喪失しつつあるし、防衛費に今から投資したら二度と立ち上がれなくなるほどの打撃を受けるだろう。
近頃経済関係の記事で再三指摘しているけど、現在日本の固定化されてしまった国家予算は総額で96兆円、税収の倍以上だ。
そのうち、防衛費は現在5兆円だ。人員は非戦闘員込みで23万人。
今、中国で現有兵力が228万人。予備役が51万人。
ロシア連邦で120万人。韓国軍が66万人。北朝鮮が190万人、予備役が90万人。
日本の自主防衛の全体を俯瞰すれば、これらの総数の3割位から攻撃される前提を持つしかない。
つまり、全面的に東亜で軍事的に対立するとなったら、相手方の兵力を総力で225万程で予定せざるを得ない。
これに23万人で対抗するってことは、こちらが10:1で装備とかミサイルの優位を確保せざるを得ないって事だ。
ところが現実には、中国がミサイル攻撃能力で世界三位、ロシア軍が軍事力で世界二位、韓国軍はつい最近日本を僅差で軍事力で追い抜き、北朝鮮の戦力は未知数ながら弱いってバカにして安心できるほどのものではないだろう。
つまり、衛星、遠隔攻撃、単純な衝突、どれ一つとっても日本の軍事力は東亜の中で最低のランキングで、科学力が無くなった現在、仮にでも対立もありという体制に転換するのが非常に危険な現状なのは明らかな話だ。
(ファイティングポーズを見せるのであれば最低限の筋肉は持ってからにするべきじゃないのか?)
これにまじめに対抗するのであれば、自衛隊の人数を単純に10倍にするか。
予算を何倍も使って兵器の力で10:1の兵力差を埋めるか。
これを財政が大赤字を垂れ流して、消費税が3%あがった、さらに2%上がると言って解散総選挙をやっている現状で考えなきゃいけないってことだ。
例えば軍事投資が今から4倍になったとして、5兆円が20兆円になり、消費税が3%で5兆円ってことは、防衛のために9%余計に上げなきゃいけなくなる。
福祉の維持のために10%。実際は15%くらいまで15年位掛けて上げていくんだろう。
その上にさらに9%。消費税がおよそ25%になる。
これが本気で実現できるとでも思ってるんだろうか・・・・
危険なのは現実が見えてない国民と政治家そのもの
日本の改憲問題で何より危険なのは、この現実が理解できてなさそうな政治家と国民そのものだろう。
たとえ消費税30%でも日本人は防衛に投資する、となったとして、この10:1の戦力差を埋めるのに一体何十年かかるんだろうか?
実戦経験0、軍事インフラは全部借り物、オーナーのアメリカ軍が日本の防衛のために助力してくれるか既に危ない状況になっている。
つまり、金の工面の当てもないまま、全然武力が強化できてないのに安倍晋三は自分より強い敵に喧嘩を売って歩いてあらゆるところで梯子を外されているわけだ。
この裸の王様がこの程度の決算もしないままで改憲と喚いているのが本当に安全なんだろうか?
今回の解散総選挙のテーマは実際は改憲に集約される。
何しろ喧嘩を売りまくった中国が今の世界経済の主要な争点になっており、関係が壊れていく中で経済が回復する見通しは立たない。
アベノミクスだのトリクルダウンだのいくら喚いたところで成功しないのが確実な中、人気の維持のたった一つの方法は右翼芸以外ありえないからだ。
だからこそ投票に行くまでにこの基本的な決算を見て、各々の考えを固めなきゃいけない。
そしてもう一つのリスクは、政党を乗り越えてこの改憲に手を付けようとする議員が地雷のようにそこら中に散らばっているところにある。
過去自分たちがビビって自衛しなかったことを棚に上げ、選挙で勝つために決算に目をつぶり右翼芸に勤しむゴミのような政治家達。
日本の潜在的リスクの中でも最も危険な存在だろう。
まともな頭が付いているのであれば金かけずに争わない防衛方法でも考え出せって話だからだ。
どこに上述までのような投資をする余裕が有るんだ?
先日改憲問題で日本会議が組織した団体があり、その団体の結成を記念して配布した冊子に関連する議員が登場していた。
入手した手元の資料の文字起こしから次回の記事で地雷議員を紹介しようと思う。
沸いてくるクソコメ、踊るクソリプ。年単位でつきまとうネットストーカー。
日本有数のネトウヨ・キチガイ・ネットトロルウォッチャーです。
主に経済・哲学・ライフハックを扱います。
コメント欄は日本有数の保守(ホモ)、ネトウヨ、ネットトロル博物館となっております。
義務教育で学び損なったらどこまで悲惨な人間に育つか?
子育て世代の貴重な見本がコメント欄に大量に所蔵されています。
軍事専門家ですか?
日本の危機は理解してますよ
震災から、中国は日本が終わったと思ったんでしょうね
韓国の態度も、もう日本が無くても中国とやれると踏んだからでしょからでしょう
それより、中国のミサイルは確かに驚異。しかし中国兵器の張りボテは無視?
韓国の兵器の半分は使い物にならないのも無視?
凄い、もっともらしく書いてるけど日本が立ち上がらなくて
じゃーいつ立ち上がるの?
何もしなければ、何も変わらない
日本が黙ってたら中国や韓国は黙ってるのか?違うだろう?
攻撃されてる以上は仕方ないでしょ?
だいたい、憲法九条に関心がある国なんか韓国と中国くらいだわ
日本が憲法九条を持ってるからって戦争が出来ない訳があるか!!
法に縛られて何も出来ないのが怖いわ。一昨日きやがれ!!
東条英機 1884生まれ~開戦1941年 57才
げりぞう 1954生まれ~現在2014年 60才
げりぞうは、改憲して戦争おっぱじめるまでの間にたぶんくたばる。
次回右翼ごっこの酋長は誰だろう?
右翼ごっこの総本山は日本会議?神社本庁?
負けると分かってる戦争を始めて日本人を苦しめるのが目的なのは前回と同じですね。
法に縛られて何も出来ないのが怖いわ。
法って面倒だけど大事なんだよね。
だからグンダリさんは環境を整えてからって書いてあるんじゃないですか?
@名無し さん
それ+環境を整えるのが可能かどうか考えて行動しようってことですね。
5兆、10兆って豆腐じゃないんだから、その金を現実的にどうやって工面するのか、
福祉やインフラをほったらかして投資していくのか、
消費税+2%=解散
という政治思想でその争点を語らないことって誠実か?これ重要だと思いますよ。
@まる、
勢いだけで戦争はできませんよ。
相手が挑発的だから仕方ないとか小学生じゃないんだから冷静になりましょう。
ネトウヨは韓国を仮想敵国と考えてるようだけど朝鮮半島は日本防衛の要なのだから韓国軍(特に陸軍)が弱いと困る。あの一帯は日本の盾。
極東ロシアは補給線がシベリア鉄道という致命的欠陥を抱えているので脅威は誇大宣伝。
中国は無限の再生力と核攻撃にも耐える地勢から敵に回すのは大変危険……というか、あの国は海軍が壊滅したところで降伏するとは思えない。あの国は何度でも負けられるが日本は一度も負けられない。日本の致命的欠陥は敗北できない点にある。
どんなに優秀な軍隊でも3割失えば戦力はガタ落ち。自衛隊の欠陥はそこにあるのでいきり立つのはやめましょう。
自主防衛の行き着く先は核武装ですが、万一実現してしまうと今が懐かしく思えるくらいに米中ロの圧力がハンパなく激増します。スクランブルなんて年に数千回は当たり前。今程度でいきり立ってたら国際政治に参加できませんよ。
っていうか、日本が何もしなければ外国が図に乗るのは万国共通でしょう。何を甘えてるか理解不能。問題は”何もしない”と”戦争”の間を埋めるのが政治であるにも関わらず、そのスキルを鍛える必要性を無視するアホどもの増殖。君のような、ね。
日本人がこれだけ隠忍自重しているのにその意を忖度せずにいるとは無礼千万!叩き切ってくれる!
とか喚いてもキチガイ扱いの上ボコられるのが国際政治。
まずは冷静になることから始めようか。
これだけ難題山積みなのに、口先だけで「ヤルヤル」言うだけなら、誰でもできるよ。諺でもあるように「ない袖は触れない」し。
安倍チョン自民もネトウヨも、これらの問題を片付けるのを、軍茶離さんが言うところの「みんな」がやってくれると思ってますよ。そんな「みんな」なんていないのに。
そういうネトウヨたちの意見に逆らう奴を、勝手に「みんな」からはずして「チョン」だの「サヨク」だの言って、もともと無理なことの原因と責任を反対意見を言った人たちに押し付ける。
ホント、卑怯な人たちだと思いますよ。
憲法の話もお金の話も、最終的には、「できない原因」ではなく、「やらない言い訳」になりますよ、きっと。
この手の話は結局、憲法やお金以上に、そう言う事をいっている奴の一人ひとりの「覚悟」の問題、はっきり言えば「覚悟が足りない」と自分は思いますよ。口先だけで絶対「自分の問題」なんて思っていないですよ。
本当にやる気がある奴は、ネットでグダグダ言ってないで、自衛隊にでも入っていますし、そうでなくてもいつでも攻められていいように、巻き藁突いたり、うさぎ跳びしたりしして、体鍛えて迎え撃つ準備してますよ。
安倍チョンだって、今現在だって衆院2/3以上の議席があり、参院でも過半数あるんだから、得意の屁理屈とマスコミのアンダーコントロールでさっさと自衛隊をシリアやウクライナに送っちゃえばいいんだからさ。
正直な話、ネトウヨたちの能書きは散々聞いたから、そろそろネットで喚く以外の「真の力」てのを見せてほしいと思いますよホント。
コメント汚してすみません
厳しい道のりになるだろうけど日本は中国の懐に入り込んでしまうのが一番いいのかもしれない。
尖閣諸島を材料にすればアメリカより多少はいい待遇で迎え入れてくれるはず。