還付金で資金繰り改善-目指してる、未来がまちがい-
経営再建中の大手電機メーカー「シャープ」は、経営再建策の一環として検討していた資本金を1億円に減らす減資について、政府内から批判が出たことなどを受けて断念することになりました。
シャープは、主力のテレビや太陽電池の事業の不振により、ことし3月期の決算で2年ぶりに最終赤字に転落する見通しとなり、抜本的な再建策の検討を急いでいます。
この中で、シャープは、およそ1200億円の資本金を大幅に減資して、法人税の軽減などの税制上の優遇措置を受けるため、中小企業とみなされる1億円以下に減らす方向で検討していました。
シャープが中小企業税制の活用断念と言うんだけど、政府も今回はかなりまともな方向で「いいかげんにしろ」と言った感じで。
シャープの行き詰まりは税制活用とかそういう次元をとっくに通り越していて、資金繰りの行き詰まりの次元で言えば田舎の小規模な土建屋と変わらないレベルまで追い込まれているんだろう。
多分月末の残高を見て経理部の奴が顔面蒼白になるような綱渡りが続いているはずだ。
経営悪化でも色々なステップがあって、初期段階の人材不振、次のステップのガバナンス不振、その次のステップの取引先離反、その次の売上不振、最終段階で資金繰り破綻。
つまりシャープは既に最終段階まで行っている。
気の毒だけどおそらくカネボウみたいに解体するしかなくなるだろう。
マトリックスの弾丸よけみたいな無理矢理な姿勢で、銀行団からの子会社の分離売却要請なんかをのらりくらりかわしながら、どうやって規模を維持したまま生き残るかという叶わぬ願いに今経営陣は必死になっているのだろう。
結局、鴻海とかサムスンの救済提案の時に、自分たちが選ぶ立場でもないのに上から目線だったシャープの社員の言動が全てを物語っていたわけで、なりふり構わない再建策を早い段階でやらなかったから全社的な危機感が共有できないまま今に至ってるんだろう。
売られる立場にまで転落した女が全裸を拒んでも無意味であって、大切なのはそこまで行かないように早い段階で適切な行動を選択する事だ。
それが出来なかった場合の最悪の例の典型的ケーススタディーをシャープは演じるのだろう。
資金繰りが行き詰まり、欠損金還付で足しにしようとしていたシャープ
そもそもシャープがこうした中小企業税制の活用とかに逃げていたのが、「優遇策の活用」というものだったけど、基本的にその手の優遇策というのは補助金と税金の還付に集約される。
例えば赤字決算の過年度納税還付とか、設備投資への補助金というやつだ。
前年1000万利益を出して500万納税したとして、翌年1000万赤字出したらそれをそっくり還付しますという制度。
シャープくらいの企業になると沢山連結子会社や子会社があるんだろうけど、母体が赤字で申告していたとしても子会社は黒字で申告している場合も多々あるだろう。
そうしたチリツモの還付を受けたかったらグループ全体の資本を中小企業化する必要があるわけで、落穂拾いのような真似をしないともう現金が足りないところまで追い込まれていたってことだ。
設備投資の補助金なんかにしても同じような話で、はっきり言ってシャープの抱えてる問題から見たら誤差としか言いようのない数字の補助しか出てこない。
おそらくそれでもグループで合算したら、2,3ヶ月分の人件費の足しくらいにはなるのだろうし、銀行と短期でやってくる債務の償還でぎりぎりの交渉をするのに疲れて逃げるために考え出した窮余の一策だったはずだ。
こういう状況を俯瞰すると、シャープはもう売上不振とかそういう次元の経営危機ではとてもなく、具体的に言えば倒産寸前としか言いようがない状況に陥ってると言っても差し支えないと思う。
鴻海を裏切った時点で聡い人には既にこれが見えていただろうけど、最後にサムスンに屁をかましたのが決定打になった。
つまりまともな企業でシャープに助け舟を出すところはもうないってこと。
「市場」で救済策を模倣するならバラ売りの専門家が集まったヘッジファンドしか金の出し手はいないだろうし、政治や日本の財界に逃げるなら経営陣を全員追放して銀行管理になるしかなくなる。
シャープとしてはそれでも自力再建を目論んでいるんだろう。
重箱の隅にくっついた米では兵糧として役不足だと思うけどね。
デット・エクイティ・スワップ以外に打つ手が無い現状
こうした減資による財務的対処策を泥縄と言うんだけど、減資自体は累積損失を資本と相殺して帳簿から抹消する効果が出る。
累積損失が1500億の会社が1500億減資すれば累損は0。
シャープの財務幹部はおそらく、できれば時価増資、無理ならデット・エクイティ・スワップ(DES)を狙っているのだと思う。
時価増資は現状では到底無理で、DESも無理だと思うけど、出口としてそれしかないのが現実だろう。
これは銀行や一般の金融債権者が債権を資本か劣後債に振り替えるというもので、銀行が経営状態最悪だったころしょっちゅうやっていた手法だ。
ところがその時代のお陰でイメージだけが一般化したこの手法を、民民で引き受けた事例なんか殆ど無いってことを忘れている。
あの当時は官民の交渉だったからそれができたんだろうし、その債権者も銀行を再建することを目的に組織された団体や政府だった。
銀行はシャープの再建が目的ではなくて、債権で利益を上げることを目的にしている。
現状、シャープの将来性に債権を資本に振り替えて投資する企業なんか出てこない可能性のほうが高いと思う。
どう控えめに見てもシャープの再建に十分といえるボリュームで実行するのなら、2000億近くそれをやらないといけなくなるし、おそらく1000億近い新規融資も必要になるだろう。
現状のシャープでは100万円利益を上げるために150万かかってるのと同じ状況になっているし、もうすぐ売上を経費が追い抜くのも時間の問題だろう。
これは債権者から見たらリストラしても追加融資しても絶対に助からない底なし沼にしか見えないはずで、事実企業の拡大に熱心なサムスンとか大手の外資系も追加出資なんかの話は全く出していない。
多分一部の市場関係者や、中の財務幹部が夢見ている理想的な債務整理なんてのは成立しない可能性が高いと思う。
相当前にシャープはこのまま倒産すると言ったけど、予想外に2年間生き延びてきた。
でもその悪あがきもそろそろ最終局面に差し掛かっていると思う。
多くの日本企業の経営者や幹部は勘違いしているけど、大事なのはモノヅクリや技術そのものではなく企業としての売上と利益だ。
その製品の素晴らしさは売上でしか語れない。
つまり「造れる・作れる」<「売れる」=「創れる」の順で価値は推移する。
その判断基準が早い段階での適切な対処を促す基本になるのに。
(テレビは作る・造るであって「創る」ではない。)
シャープは「世界の亀山」と謳った時点で既に緩慢に死に始めていた。
タイムズスクエアやトラファルガー広場で、道行く人に「世界の亀山」をアンケートしてそれがなにか知っている人がどれくらい居るだろうか?
それが考えられなかった人が語る「最高水準の技術」というものにどれくらい信憑性があるのかという事も現状が問題提起している。
経営再建中の大手電機メーカー「シャープ」は、経営再建策の一環として検討していた資本金を1億円に減らす減資について、政府内から批判が出たことなどを受けて断念することになりました。
シャープは、主力のテレビや太陽電池の事業の不振により、ことし3月期の決算で2年ぶりに最終赤字に転落する見通しとなり、抜本的な再建策の検討を急いでいます。
この中で、シャープは、およそ1200億円の資本金を大幅に減資して、法人税の軽減などの税制上の優遇措置を受けるため、中小企業とみなされる1億円以下に減らす方向で検討していました。
しかし、これに対しては宮沢経済産業大臣が12日の記者会見で、「企業再生としては違和感がある」と述べるなど、大企業が中小企業並みの優遇を受けることに批判が出ています。
このためシャープは、資本金を1億円に減らす減資については断念し、5億円程度までにとどめる方向で最終的な調整を進めています。
シャープは、経営の立て直しに向けて減資のほか、人員の削減などの合理化策を盛り込んだ新たな中期経営計画を14日に発表することにしています。
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義務教育で学び損なったらどこまで悲惨な人間に育つか?
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こんにちは。DESについては主力行のみずほとUFJが既に合意していますし恐らく軍荼利さんの書かれている流れでことは進んで行くのでしょう。ただ、両行は官邸・経産省からの圧力で渋々支援を決めた経緯があったようで、こちらも「企業再生としては違和感がある」話ですね。円安で為替差益が出ても国内設備投資とか大幅なベアをしない企業に対して『守銭奴』と言って非難した副総理がいましたけど、シャープの盛衰を見てしまうと官制為替相場でタナボタした金を将来性の無い国内投資や一時金ではなくベアに回すなんてことは怖くて怖くてできるわけはなく、将来性のある海外投資に回すのが当然の話です。まさに軍荼利さんが仰せの海外が受益者のトリクルダウンが確実に起きていますね。
シャープが倒産ともなれば数万人規模の失業や下請けの連鎖倒産が起きてしまうため粉飾アベノミクスはあっという間に「はい終了~」となるでしょう。そういう意味において安倍ちゃんとしてはシャープには絶対に潰れてほしくないらしいです。そうなると、税金や公的資金を入れるような到底国民が納得できないトンデモ支援策が飛び出してきそうですね。
@考える葦 さん
「まじかよ」と思って調べたらほんとに合意してたんですね。
しかも3000億ってところもぴったりだったので笑いました。
これは確実に政府から圧力があったんですね。
仮にDESやってもゾンビになって今から何年も地獄のゲリラ戦でしょうし、まともな判断なら見捨てる一択でしょうから。
私は仮に借金をわずか減らしたところで、いずれ元本の償還と支払い経費の総額が売上を上回るだろうなと思います。
つまりどっちにして早晩倒産すると思いますね。
>DES
>これは銀行や一般の金融債権者が債権を資本か劣後債に振り替えるというもので
優先株の誤りでは?
劣後債はDDS
@ふみお さん
現在もそうなのかわかりませんけど、ついこの間まで劣後債はみなし資本だったはずですよ。
自分は当時「世界の亀山~」といってる時点でSHARPの液晶がVA方式の性能があまりよろしくないことに失望して、
日立の茂原/姫路で作っていたIPSパネルを採用したPanaに流れた口なんでそんなもんだろうなとは思ってましたが
当時の時点で当時SHARPとサムスンが全面採用してたVA方式の液晶モニターの画像品質の評判はよくなくて(フィルターの問題でギラつきとかが出る)
日立、LGが採用してたIPSのほうが人気でした
液晶パネル方式で墨守したのが結構後になって影響してたあたりはなんというか
SAMSUNGはかなり速い時点でPLSという名のIPSに移行したあたりこだわりがないぶん聡いなとはおもってましたね
日本の家電メーカーはインチサイズの拡大にこだわるあまり、
日本だけでなく世界全体でのTVの設置環境というのをまったく考慮しなかった
というのが凋落の原因ではあると思います
いくら高く売りたいからって大きくしても、家に置けなければ必要のないものなんですね
どうあがいても日本のアパートマンションレベルや、中進~途上国に40インチ以上が大量に売れるわけはないわけですし
先進国でもホームシアター文化のあるところか見栄をはるひとらくらいでしょう
Panaは当時尼崎でプラズマディスプレイつくってましたけど、あれの最低インチサイズが40インチという話を聞いて
「これでは安価に作って大量量販なんて無理だから絶対どこかで行き詰るな」というのはかんじてました
そしたら案の定でしたが、即座に日立から液晶事業を買うあたりはまだ体力があったんですね