おすすめアーカイブ

カテゴリー

ウクライナ侵略の行き着く先と西側のジレンマ

  1. 経済
  2. 1337 view

東西陣営の勝利条件を洗い直す

 

世界の混乱が徐々に深まる中、2022年6月末からは一時的に西側が情報戦において東側を押し返すことに成功している。
(商品価格が反落し始めた。)
しかしその結果、各国の市場で好調だった商品関係の銘柄が高値からひどい下落に見舞われ、結局市場の混乱でマイナスの側面が肥大しているのではないか。

改めて記事を進める前に、この戦争の東西各陣営の勝利条件を洗い出したい。

東側の勝利条件

    1. NATO前線に緩衝地帯を設ける
    2. 自分たちの意思を明に見せつける
    3. 輸出商品の価格決定権を取り戻し国民生活を豊かにする
    4. 西側との不均衡な、ある種の指導にも似た国家関係を対等なものに是正する
    5. 国連での数の不均衡を逆転あるいは是正する

大筋、こんなところだろう。
このうち、2、3は達成し、4は手がかりが見えてきている。
1はロシアがリトアニアを攻撃する(一年もかからないはずだ)まで先行きは見えないが、おそらく早晩、1-2年の間に達成されるだろう。
5はこの戦争をロシアが2-3年やり続けたら自動的にそうなるはずだ。

西側の勝利条件

    1. ロシアが軍事的野心を起こさないように前線基地を目の前に作り迎撃不能な距離にミサイルを設置する
    2. 中国と対立しない範囲で緊張を強いて経済成長を少しでも足止めする
    3. 輸出商品の価格決定権を握り込み、BRICSのような新興国の覇権を許さない
    4. 文化と文明の指導者として新興国や経済的弱小国に君臨し自分たちの計画を彼らの低賃金労働で遂行する
    5. 4を確実にするためにIMFの審査による締め付けを通じ彼らを資金的に従わざるを得ない状況に置き続ける
    6. 金を金で成長させる信用経済を地球の軸にし、札によって他国を従える

基本的にはこれである。
現在までに1は失敗し、3の目論見は崩壊しつつあり4、5も崩壊目前である。
2は台湾での紛争が具体化したら完全に崩壊する。(そして意味がわからないが挑発を始めてしまった。その時日本はワシントンの醜の御楯になるのだろう)
実際、4の失敗は西側全体を破綻させる可能性が極めて高い。
アメリカでアメリカ人の雇用が高まり給与が上昇傾向なのは4に失敗したせいで、つまり今まで儲けられていた金はもう儲からなくなった事を意味している。
コロナを起点にしたとはいえ外国人低賃金労働者が来なくなったからだ。
3の失敗によって、多くの国が国連や西側の「経済支援」を得るより適正価格で産物を売るほうがより豊かになれることに気がついたせいもある。

つまり、6も既に計画は破綻したと言えるし、そもそも資源的な天井や次世代技術の登場遅れで破綻しかけていたわけだ。
「そんなことはない、誰だって民主主義が必要なはずだ!」「市場の成長は無限なのだ」
お前はそう思うのかもしれない。

でも現実にはそう思わない人が多いから一帯一路に参加する国は多数に上り、BRICSは連合化しさらに膨張し始めた。
※それについては既に2022年3月の時点で指摘している。

現状では東側は5の達成と西側経済の自壊を皮切りに西側は地位を失う可能性が大きい。
7割位の確率で西側が負けるか勢力を大きく失うことになるだろう。

ウクライナ侵略の行き着く先と西側のジレンマ %e9%87%91%e8%9e%8d%e3%83%bb%e5%b8%82%e6%b3%81 %e7%b5%8c%e5%96%b6 %e6%94%bf%e7%ad%96%e3%83%bb%e7%9c%81%e5%ba%81 %e4%b8%80%e6%ac%a1%e7%94%a3%e6%a5%ad defence international economy

ロシアの勝利を防ぐために西側が打てる策

 

西側がロシアの勝利を防ぐために打てる手は実際にはそう多くない。
まず一番が弱小国に資源と安全、発展を保証することだ。
そしてそれには実際失敗している、スリランカもアメリカの圧力を無視してロシアと中国に公然と助けを求めている。

ウクライナ侵略の行き着く先と西側のジレンマ %e9%87%91%e8%9e%8d%e3%83%bb%e5%b8%82%e6%b3%81 %e7%b5%8c%e5%96%b6 %e6%94%bf%e7%ad%96%e3%83%bb%e7%9c%81%e5%ba%81 %e4%b8%80%e6%ac%a1%e7%94%a3%e6%a5%ad defence international economy

動画:「破産」のスリランカ、ロシアに燃料と旅客便再開を要請

【7月7日 AFP】スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領は6日、1948年の独立以来最悪の経済危機を乗り切るため、ロシアに燃料の供給と旅客便の再開を要請したことを明らかにした。

ウクライナ侵略の行き着く先と西側のジレンマ %e9%87%91%e8%9e%8d%e3%83%bb%e5%b8%82%e6%b3%81 %e7%b5%8c%e5%96%b6 %e6%94%bf%e7%ad%96%e3%83%bb%e7%9c%81%e5%ba%81 %e4%b8%80%e6%ac%a1%e7%94%a3%e6%a5%ad defence international economy www.afpbb.comウクライナ侵略の行き着く先と西側のジレンマ %e9%87%91%e8%9e%8d%e3%83%bb%e5%b8%82%e6%b3%81 %e7%b5%8c%e5%96%b6 %e6%94%bf%e7%ad%96%e3%83%bb%e7%9c%81%e5%ba%81 %e4%b8%80%e6%ac%a1%e7%94%a3%e6%a5%ad defence international economy

どうしてそうなったかといえば理由は実に簡単。

西側(アメリカ)の支援を受けて一時的に飢えをしのいでも永遠に輸出品は買い叩かれ出稼ぎと観光で外貨を稼ぐような未来しか待っていやしないと誰でも知っているし、冷戦中に彼らが声を大にして素晴らしさを強調してきた民主主義を受け入れた国の末路をリアルタイムで見ていたからだ。
どんなに恫喝したり懐柔したりしてもそれが嘘だと相手は知っている。言う事聞いたら肌が茶色いウクライナになるだけなのだ。

また、単純明快な話で、西側が食わせられる国の数なんかたかが知れていることは各国の首脳になるような教育を受けた人々は自明の話として織り込んでいる。
ついていっても本当に燃料や食い物を届けられるか信用してないということだ。

また、西側はロシアが訴える事の外形を未だに正確に理解してない。
ロシアは「私達と一緒に西側を相手に輸出品をフェアトレードしよう」と勧誘している。
(人々の感想とは全く無関係に歴史的な解釈はそのようにしかなり得ない。)

西側はそれに対して「貧しい皆さんコンニチワ。支援を通じてトモダチになりましょう、お金貸シマース」と勧誘している。

どっちが自立に役立つかバカでもわかるはずだ。
アクが強い為政者なら金を借りたあとその半分を持参金にBRICSに加盟し金は踏み倒すだろう。
もし俺なら必ずそうする。

また、今後西側がまず守らなきゃいけないのは国連での議席数だ。
そのためには各国を食わさなきゃいけないのだが、国連での議席は例えば人口1億人の日本と人口10万人とかの太平洋の島国も同じ1議席だ。

どういうことか?
今後西側に付き従う国は、いずれ始まるのであろう資源分配のトリアージを常に考えながら行動するしかないということを意味している。
あなたがバイデン大統領のつもりになって考えてみてほしい。
日本もトンガも同じ一議席で、人口は1000:1。

トンガみたいな国を5個抱え込んだら5議席、日本は1議席。
コストは5:1000
どっちの資源を保証する?

今後国連での橋頭堡を守るために議席数を維持したいとなったときに、米軍基地が既に置かれている国やロシアと過去対立側にいた国に資源支援せず、小さな島国や山間の国を支援漬けにして投票を促すだろう。
基地をおいてる国はどっちにせよアメリカから抜け出すことはないし、過去対立してきた国は簡単に転ばないとみなせるわけで、そいつらへの支援をパラオとかああいう国に振り向けたほうが西側への賛成票多数維持に貢献するのだから。

誰だってそんなトリアージを恐れながら生きていくのはまっぴらごめんだろう。
そしてドミノ式にスリランカが増えていくのだ。
ロシアにとって時間は今後大きな味方だ。戦争はズルズルダラダラ続くだろう。

二番手には経済を守ることが挙げられる。
これは一番とウェイトがほとんど変わらない非常に重要な問題だ。

 

経済を守るために必要な事は?

 

そもそも経済を守るための必要要件とはなんなのか?

  • 安定した市場(経済成長)の維持
  • 想定外の物価乱高下の防止
  • 企業経営の安定
  • 雇用の安定
  • 国民生活の充足

のはずだ。
そしてこれは全面的に失敗している。

経済を守るために一番必要な事は、実はロシアの停戦かウクライナの降伏である。
しかしこれについては西側の手を離れていて、ウクライナはロシア軍に壊滅させられるまで降伏はしないしできるわけがない。
つまり最も重要かつ実現可能性が高そうな要件のスイッチはプーチン大統領が握っている。
例えばウクライナが降伏や停戦を主張してもプーチン大統領は攻撃を続けられる。逆はありえないのだ。

では二番目に可能なことは何か?
はっきり言ってしまえば経済制裁をやめることだ。
こうなるのがわからずに経済制裁を始めたのか本当に唖然としているが、実際にそうなのだ。
(しかしそれをやってしまうと威信は崩壊一直線だろう。)

例えば、経済制裁を初めてインフレが始まって、何十億人か生活費が1割上がったとする。
ロシアは人口が1億人しかおらず、経済規模も韓国より小さい。
この時点で損失レシオで大失敗している。

そしてG7などで集まって、ロシアの石油製品を買わないとか決議したり、市場価格にキャップを付けると主張する。
このときにまず市場の信頼が崩壊を始めている。
NYDAUが5万ドルになろうが10万ドルになろうが絶対にキャップを被せないでアラブ人やロシア人に平気で売るのに、彼らが売っている市場上場商品には勝手に価格キャップを付ける。

一体誰がそんなデタラメを信用するのか?

また、そうした決議の最中に、西側がロシアの資源を市場に出回らせるためにしてきた投資はロシアに接収され、資源は禁輸される。
近年、バークシャー・ハサウェイはじめ株式投資は商社や資源関係に向いていて、巨利を博してきた。
そしてマネーの地殻変動が起こり始め、キャシーウッド率いるARKKのような今までのスターたちの株価は地に落ちた。
差し引きはおそらく大幅にマイナスだろう。
(リーマンショックがママゴトに見えるような危機の崖っぷちに我々は立たされている。)

市場は大混乱しているし、制裁していたらマネーの逃避先の価値まで暴落して必要要件を自ら破壊するのである。
再三西側は自壊すると言っているのはまさにその事で、陣営から食わせてもらえなくなった国が離脱して、書いてあることやお題目と違うことを平気でやる市場と銀行から金が出ていって、西側の土台である信用と議席多数は自壊するのだ。
これは多分不可避だ。

だいたいがキャップをつけて買わないと言い出すのは結構なのだが、じゃぁ売りませんということで減産されたらどうする気なのだろうか?
自家用車禁止にして国民をバスに乗せるのか、だとしたら自動車産業が吹っ飛ばす時価総額をどうやって埋め合わせるというのか。
本当に可能なことを喋っているのかがかなり怪しい。

制裁したら株価は暴落し、制裁しなければメンツは丸つぶれ。
商品をシャットアウトしたら車も走れなくなる。

これが、現実。

1

2

関連記事

元祖自己責任男  猪瀬直樹元東京都知事、…

猪瀬が5000万引っ張ってきたって動機が「生活の不安」だったわけだけど、今後退職金食いつぶした後生活がどうなるかビビりまくってないとつじつまが合わないよな。また徳州会…

  • 111 view

人の保守(ホモ)、普通の日本人が図鑑に登録されました。

第二の青葉は早期発見! コメントはログイン必須→ ログイン