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さが美TOBで露呈した日本市場のガバナンス 資本主義と対立する親子丼詐欺

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「ユニー・ファミマ子会社なので」上場企業とは信じがたいメチャクチャな言い訳

 

さが美のTOBが揉めることもなくひっそりと終わったものの、日本市場のメチャクチャさを久しぶりに浮き彫りにさせるとんでもない判断は一部で物議をかもしている。

再生ファンドの90円のオファーに対して、さが美の経営陣は親会社の提案で56円で別口のオファーにサイン。

 

つまり、一般株主に一株あたり34円の逸失利益を発生させて、広報担当者は「ユニーが親会社なので、我々が独自に対応を言う立場にない。あくまで受け身」と開き直っているそうだ。

 

しかし自立的に判断する立場にない企業がなんで上場企業になるときだけ自分の意志を(書類上)表明して上場しているのだろうか。

金を集め終わったので元の操り人形に戻ります、って感じか?

株式市場で集める他人の金は割りと彼らにとってどうでも良いらしい。

 

古くは吉本やその子会社群、リーマン・ショック後のキャッシュリッチな新興企業の泥棒まがいのTOBと異常性は度々示唆されてきていたものの、当時はグリーンメーラーが跳梁跋扈し、そうした異常性を指摘する普通の資本家の声もハゲタカの鳴き声と混同され黙殺されてきたのがここ最近だった。

 

要するに、ガバナンスがメチャクチャなわけだ。

株式を通じて資本家が使用人と緊張感を持った関係を構築するのが資本主義の本筋であるはずが、日本ではサラリーマンの楽園ガラパゴスが出来上がっている。

 

今、違和感なく我々が受け止めている子会社上場。

これもよく考えたら株主から泥棒しているのとほとんど同じようなもんだろう。

例えば大昔に存在した日立造船富岡機械とか、よく覚えてないけどその手の「工場部門が独立した形を作って親会社から分離上場」という形式。

 

いまでもそんな企業は無数にあるわけだけど、時価総額の分だけ親会社の一般株主は損をしている。

なのになぜそんなことを上場企業がやっているのか。

日本の上場企業経営者で株式のメジャーホルダーとして存在する人たちは思っているよりずっと少ない。

 

特に一部上場の大きな会社になればなるほど資本家の力は微弱なものになっている。

つまり、サラリーマンが役員席に座りそこねた同期の引退の花道を飾るために子会社を分離させているし、ついでに子会社の株を個人でもシェアして上場する時に小遣い稼ぎをしようという算段がそこにある。

 

株を持ってない役員や経営者が集まって自分たちと別種の生き物、資本家にババ抜きのババを引かせりゃぁ良いと思ってるわけだ。

勿論最初は内輪で投資しあって株価を吊り上げる算段を立てている。

 

母体の株価低迷なんかお構いなし。

何しろ株持ってないんだから。

 

<安値TOB、以前に新日本無線のケースも>

さが美の筆頭株主、ユニー・ファミリーマートHDは10月11日、保有する同社株式53.8%を投資ファンドのアスパラントグループに売却すると発表した。これにより、対抗提案が出ていたにもかかわらず、安値を提案したファンドが勝利する異例のTOBとなった。

アスパラントの買付価格は1株56円だったが、再生ファンドのニューホライズンキャピタルの買付価格は1株90円。ニューホライズンはさが美とユニー・ファミマHDから賛同表明を得るために交渉を申し入れたが、ニューホライズンの安東泰志社長は「全く応じようとしないままだった」と語る。

TOBの対象会社はTOBについて意見表明を行うの常だが、さが美はアスパラントの提案に賛同を表明。同社の広報担当者は「ユニーが親会社なので、我々が独自に対応を言う立場にない。あくまで受け身」と説明する。

安東社長は「(さが美とユニー・ファミマHDは)東証のコーポレートガバナンス・コードに違反していることは明らかだ」と話す。

via: アングル:安値でTOB、さが美経営陣が直面する説明責任(ロイター) – ニュース・コラム – Yahoo!ファイナンス

 

 

資本家絶対殺すマンの文化大革命絶賛進行中

 

こうしたサラリーマン天下の実情は何回も取り上げてきたけれど、小泉内閣以降、不良企業の整理という名目で生きてる会社の息の根を次々と止めることで問題はより深刻化してきた。


 

具体的には西武の堤さんの転落が典型例だけど、実際財界に事実上財界人と言える人間はほとんど居なくなってしまった。

読売新聞のオーナーとか笑わせる、ただのサラリーマンが役員会を壟断していつまでも居座っているだけで、ナベツネはサラリーマンの上がりの椅子にしがみついているだけだと誰一人指摘しない。

 

サラリーマンが財界人というのが気が狂っているし、それに疑問を感じない資本と無縁の国民ばっかりの資本主義採用国家というのがもっと頭がオカシイわけだ。

今株式市場を流通している金の殆どは会社の金と他人の金で、利回りを毎年厳しく査定される金や個人の生活がかかった金なんてものはほとんど、無い。

 

生命保険会社ですら保険契約を取るために株を持合するだけで、配当比率なり株価なりで厳しい意見を突きつけることは殆どと言っていいほどありえない。

(会社の利益率の構造そのものが投資利回りに依存してないねずみ講的仕組みだから当然なんだけど。)

 

結果的に、戦後すぐにあった財閥解体で泥棒が焼け太った社会は、緩やかな共産革命に姿を変えて現在も革命は進行している。

サラリーマンという立場で言えば公務員も同じだからか、資本家には苛烈な処分が簡単にくだされる一方で、ダイレクトに泥棒とかの犯罪を犯すサラリーマンは盗んだのが会社や株主の金である限り大した責任は滅多と追求されない。

 

警察で告訴を受け付けてもらうまでが一苦労であるにせよ、資本家が権利を認められたかったら最低限高裁レベルまで争うしか無いのが今の日本の資本市場と社会構造、というのが現実だ。

(裁判所の判決だけは現在資本家とサラリーマンの権利を割りとフェアにジャッジしていると思う。)


 

電気機器大手「キーエンス」(大阪市東淀川区)の創業者滝崎武光名誉会長(71)の長男が大阪国税局の税務調査を受け、滝崎氏から贈与された創業家の関係会社の株について、1500億円超の申告漏れを指摘されたことが17日、分かった。申告した株の評価額が著しく低いと判断されたとみられる。追徴税額は過少申告加算税を含め300億円超で、全額納付したもようだ。
 関係者によると、滝崎氏らはキーエンスの筆頭株主である資産管理会社「ティ・ティ」(大阪府豊中市)を傘下に置く非上場の関係会社を新たに設立。この会社の株を長男に贈与したとされる。
 国税庁は、非上場など取引相場のない株の評価額は、業種が類似する上場企業の株価などに基づき算定するよう通達で求めている。長男は通達にのっとって関係会社株を評価し申告したとされるが、国税局は、関係会社がティ・ティを通じて大量のキーエンス株を間接的に保有しているとみなし、評価額が過小だと判断したもようだ。(2016/09/17-17:36)

via: キーエンス創業家申告漏れ=株贈与で1500億円超-大阪国税局:時事ドットコム

 

 

壊れたガバナンスとソニーの横領事件、サラリーマンの乱70周年絶賛進行中

 

オーナー不在の状況でのガバナンスがどうなるかは埋め込んだ記事を読んでもらうとして、実際どうなるかはソニーが克明に示している。

大手電機メーカーの「ソニー」は、グループ会社の役員と社員あわせて5人が、取り引き業者への架空の発注などによって会社の金を着服し、およそ9億円の損失が出たと発表しました。

不正が明らかになったのは、ソニーのグループ会社で、半導体の設計を行っている「ソニーLSIデザイン」です。
発表によりますと、この会社の役員と社員4人のあわせて5人が、平成24年2月からおよそ4年半にわたって、架空の発注を行ったり、発注の金額を水増ししたりするなどして不正な支出を繰り返し、一部を着服していたということで、会社の損失は、およそ9億円に上るということです。
ソニーでは、5人を28日までに懲戒解雇し、今後、社内調査を続けたうえで刑事告訴などを検討するとしています。
ソニーは「関係者の皆様に深くおわびします。内部管理体制をいっそう強化し、再発防止に努めます」とコメントしています。

via: ソニー役員ら着服 9億円損失 – NHK 首都圏 NEWS WEB

サラリーマンのガラパゴスの中である特定の意志が結託した時に会社か株主から金を盗むというのは必然だということを今回9億円横領事件が指し示した。

東芝の粉飾決算でもまさにそうだった。


 

もう一度資本家と使用人の役割の違いを考えるべき時は迫っている(というか何回迫ってるんだ)し、現実的に今の日本の企業社会に蔓延している恐ろしい病を直視するべきだろう。

 

IXI事件で、会社は数億円の売上を数百億円と(確か)100倍近くに粉飾していた。

で、社員は101名。関係者も含めたら、確信犯を除いて数千人が数億円を元手にした実体のない数百億円が本当にあると思いこんで取引をしていた。

つまり、自分で何をやっているのか理解することが出来ないやつがそれだけの人数スーツを着て働いている。

 

そしてそいつらの上がりの役職が企業役員や経営者なわけだ。

ガバナンスが壊れるのも当たり前で、基本的な能力が不足している上に、自分の金がびた一文介在しないやつが企業経営と利害を一致させて何かをジャッジすることなんて起こり得ないってことだ。

むしろ、使用人側と利害が一致する擬制資本家という、資本市場にとって悪性腫瘍としか思えないやつがそこらじゅうに居るってことだ。

 

丸紅のアスクレピオス事件。


 

丸紅は確かにいい迷惑の立ち位置もあるものの、他人に損をさせては大変だ(自分たちの名前のせいで)という最低限の常識を持ち合わせていたら、普通あれだけ大っぴらに詐欺が行われていたら違和感を感じて調査、容赦なくIRして叩き潰していたはずだ。

 

IXIも丸紅も類似した組織を構成しているらしい詐欺集団が関与している雰囲気が、雰囲気以上に確実な確信を持って感じられるものの、そうした組織の圧力と無縁のサラリーマンにモラルがあったらどちらもしっかり告発していただろう。

さが美もそういう意志のない使用人が上場企業の経営者として収まっていたし、使用人と思考も利害も一致するやつが経営者をやっていたらガバナンスがどうなるかは東芝やソニーが指し示した。

 

高度成長期やバブル時代、日本人が裕福だったのは電子化されてない在庫管理と、歩留まり対策のための若干の余計な在庫が事の発端だった。

100本の鉄骨需要に、歩留まりを考えて107本発注する。

納品が終わった後の鉄骨が3本しかなくても既に帳簿上歩留まりとして処理されている。

 

4本はクラウンに変身して、翌年7本がゴルフの会員権に変身した。

同じ流れで親子丼が証券取引所で次から次へと湯気を立て始めた。

 

冷めて饐えた臭いを出す親子丼、始末は一体どうする気なのだろうか?

 

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エンロン崩壊の際に際立っていたのは、(大きさ故だが)エンロンの突出した異常性だった。
しかしそれが普遍的な中国顔負けの日本市場で同じショックがあった時どうなるんだろうか?
その異常な市場で金を増やそうと年金を投資するのはまさに博打でしかないのではないか?
博打結構の惨憺たる状況にせよ、博打を投資と混同するのも狂っている。

 

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