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ipod、i-phone「失注する仕事」 島野製作所・小林研業とアップルの事件に学ぶ商取引 主従関係を客観視できない経営のリスク

  1. 経済
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行政に弱い者を守るつもりはありません

1 下請法違反行為に対する勧告等

(1) 平成25年度上半期(4月~9月)の勧告件数は7件(前年度上半期は10件)。このうち4件が製造委託に係るもの,2件が役務提供委託に係るもの,1件が製造委託及び修理委託に係るものであった。
(2) 7件の勧告事件は,全て下請代金の減額に対して勧告を行ったものである。

【勧告件数の推移】

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(3) 平成25年度上半期の指導件数は2,854件(前年度上半期は2,932件)。

【指導件数の推移】

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via: (平成25年10月30日)平成25年度上半期における下請法の運用状況,企業間取引の公正化への取組及び消費税転嫁対策に係る取組について:公正取引委員会

 

今回島野製作所がAppleを提訴したそうだけど、これは今現在の日本企業の大きなビジネスリスクを現している。

よく取引は対等だとか、日本の技術力があるがゆえにそれらの製品はできていると放言する人がいるけど、それらの「夢」の「現実部分」と言っていいだろう。

そういう夢も寝て見る分には罪はないんだろうけど、実際こういう問題が起きてトラブルと戦う経営者にとって笑い事ではない部分が大じゃないか?

 

まず取引が対等だという夢を見てる人って基本的な事実を見落としているけど、対等というのは得ている利益相応の対処を相手にしていいということを指してるよね。

つまり、マクドナルトとかで100円のハンバーガー食ったり、牛丼屋で300円かそこらの牛丼を食ってクレームを付ける奴に、各社がどういう対応をしてるのかと。

その程度の値段のものでさえつっけんどんな返しが許されず、箸の上げ下げまで袋叩きにあってるのに対等な取引なんか滅多なことで成立しない。

 

本当に対等であればクレームを付ける奴に100円玉投げつけて、「とっとと帰れ乞食」と突き放す権利が牛丼屋やマクドナルドにはある。現実はどうなのか?

100円ショップの製品でも、たかが100円で販売するものを製造するのに、中国の田舎の工場のオッサンはえらい目にあっている。

 

対等な取引なんて言うのは、「その会社がいなくなったら元請けさんが致命的に困る」場合に一時的に成立するだけの話で、基本的に全ての金銭授受で主従関係が発生するのが現実だ。

 

で、島野製作所・小林研業はアップルの致命的な一石になっていたか?

アップルと取引している各社の活躍の様子を取り上げて、「研磨技術が素晴らしかったからipodは製品化できた」「ピンの精度がすごいからiphoneが売り出せた」と騒いでいるけどそれ現実か?

iphoneが完成したのはAppleの製品設計によるもので、別にそういう企業がなかったら、他に使えるレベルの会社を探して微弱な設計変更を取り入れるだけだったんだろう。

 

つまり、こうしたニュース記事の前提にある「日本の技術でアップルは利益を上げた」まずこの部分が錯覚の可能性が非常に高いという認識がないのがやばいと思う。

もちろん、小林研業とか島野製作所の当事者の人々は自分で一番良くわかってるんだろうけど、「ただの下請け」として元請けに接した時に、支配されるのは下請け側だという非常に基本的な現実が嫌な形で具現化しただけの話なんだろう。

 

この訴訟のきっかけとなった事件をひどいひどいと騒ぐ人はずいぶんいるけど、こんな事件は日常的にそこらじゅうで起きている。

工事の追加発注の代金を踏み倒した、業績が下がったから協力しろと買掛を踏み倒す、全部下請けで入ってる会社で日常的に耳にする話で、これといって表沙汰にならないそういう事件のお陰で安く流通する製品を、なお一円でも安く買おうとしてネットで価格を比較してるのは他ならぬ日本人の消費者だ。

 

そういった風潮のせいなのか、下請法など色んな取引上のハラスメントやトラブル防止策はあるけど、法を駆使して最後まで取り締まる例なんか何百分の1も存在しない。

 

孤立無援の経済的ジャングルの中で、ビジネスの当事者は絶対に認識しておかなければならない基礎的な現実。

それは経済というのは基本的に「支配するゲーム」だって事だ。

支配することができない場合にどうやってリスクを回避するかがテーマになる以上、取引の帰趨をその基本的な部分から俯瞰する必要がある。

 

そしてそれをやってなかったからこうなった。

技術を盗まれたかどうか、ではなく「沢山の仕事を受注してしまう」事で支配されたがゆえに起こったのがこの事件だというのを教訓にすべきだろう。

苦しかろうがどうしようが「とりあえず仕事があれば良い」これはまずい、拙速で失敗する典型例だ。

 

そしてそういう失敗は、下請けでありながら「日本の技術のお陰でこの製品ができている」という錯覚から発生する。

ぶっちゃけその技術がなくてもiphoneもipodも同じようなシェアで流通していただろう。

売り文句はパンフレットに書くことにして、心理的な部分に取り入れないことだ。自画自賛・夜郎自大ほど麻薬と似た危険な存在はない。

 

「この技術は素晴らしい」という錯覚が取引での力関係を見誤らせて、「山ほど発注がある夢の案件」が会社ごと支配される結果を生み、一株も資本を持たせてないにもかかわらず経営を支配されたも同然の状況を自分で作ってしまった。

 

なんでも割り引いて考えるのが一番の薬になる。

「この元請けはウチがいなくなっても何一つ困らないだろう」「仕事も飯も食べ過ぎで体を壊す」

そうしてドライに考えていると「結局自分が支配する側になるのが一番じゃないか」と行き当たり、会社もビジネスも変貌を始める。

 

”支配される事” これは経営上の一番のリスクだ。

自立的判断を阻害するあらゆる要因は排除しなければならない。

たとえ魅力的な大量受注案件だったとしても。

 

さて、島野製作所・小林研業の技術は日本の宝だったんだろうか。

 

 

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製品の「中枢」技術、価格決定権、ペーパーライセンス、資本持ち合い
こういう支配するための道具あるいは支配からの盾というのは無数にあって、
その道具よりでかい相手とどう付き合うか・付き合わざるかがテーマになる。
不景気の辛いところは、その選択肢がどんどん狭まることにあるんだけどね。

 

 

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「本当に自分たちの存在によってその製品が存在しているのか?」

基本的な自問自答を怠ってはいけない。

 

「電話で申し上げた通り、いまはお話しすることができないんです。落ち着いたら、また連絡をください……」

住宅や個人商店に混じって、多くの町工場が立ち並ぶ東京都荒川区。本誌記者は、そんな昔ながらの下町の一角に本社を置く、ある中小企業を訪れた。

その企業の幹部社員は、取材に対し、終始緊張した面持ちで、言葉を選んで答えているようだった。それは何か巨大な存在に怯えているかのようにも見える。

それもそのはず、この企業はいま世界的な注目を浴びているある裁判の真っ最中で、少しでも下手なことを口にしたら判決に影響を与えかねないからだ。

裁判を起こしたのは、主に電源アダプタのコネクタなどに使われるピンの製造をしている島野製作所というメーカーである。

島野は従業員350名、年商約30億円と規模は小さいながらも、その高い技術力を評価され、インテルやサムスンなど世界中の有名企業から注文を受けている。アップル社とも取り引きし、パソコン用電源アダプタの接合部分に使われる「ポゴピン」を製造してきた。その島野が独占禁止法違反と特許権侵害でアップルを訴えたのだ。求めている賠償額は合わせて約100億円にものぼる。

via: 総額100億円アップル社を訴えた 日本の中小企業島野製作所「下請け」だからって、ナメるなよ 絶対に負けられない戦いがある  | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]

島野もアップルの急成長の恩恵を被った企業のひとつだった。アップルは島野に対して、高品質な部品を継続的に量産できるよう品質管理体制を構築することを要請し、島野も多大な設備投資を行ってそれに応じてきた。

だが、’12年8月から両社の関係はこじれていく。突如、新製品用のピンの発注量が激減したのだ。

島野の担当者はアップルにその理由の説明を求めた。だが、ただ「ピンが使われる電源アダプタの需要が大幅に減ったため」と答えるだけだった。これについて島野側は訴状で次のように記している。

〈もっとも、実際にはMagSafe2(編集部註:電源アダプタ)の需要が大幅に減少したなどという事実はなく、被告(アップル)が他のメーカーに類似製品を製造させたことが原因である〉

両社の間には、「類似製品の開発などを行わないという合意」があった。にもかかわらず、他メーカーに発注先を変えたということは、島野独自の技術が流出した疑いがあることを意味する。これは特許権侵害にあたる。島野の抗議に対し、アップルは「設計図が違うため、合意違反には当たらない」と答えたという。

島野は、発注の停止により、大量の在庫を抱え、生産ラインを停止する事態にまで追いこまれた。翌’13年5月、事業の継続のため、以前からアップルに執拗に要求されてきたピンの代金の「減額」にも応えざるをえなかった。

via: 総額100億円アップル社を訴えた 日本の中小企業島野製作所「下請け」だからって、ナメるなよ 絶対に負けられない戦いがある  | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]

 

小林研業の社長、小林一夫さんは創業当初からの主力事業だった厨房品の研磨を止め、職人の高度な技術が必要な部品の研磨に転換しました。厨房品の研磨は大量生産が可能な中国の工場に敵わないと判断したためです。
 iPodの鏡面加工技術は、小林さんの幾度にもわたる研磨道具の試行錯誤を繰り返した末に完成したもの。
 多い時は小林さんを含む5人の研磨職人で月3~4万個のiPodを納品していたそうです。小林研業が納品したiPodは仕上げが美しいのに加え破棄不良が皆無であり、高い評価を得ました。

 日本の小さな町工場の活躍は小林研業だけではありません。針が蚊の針のように細い岡野工業の「痛くない注射針」や、バレーボール、サッカーボールなどで世界的なシェアを誇るモルテンの「競技用ボール」、沖縄美ら海水族館の巨大水槽でギネス記録をもつ日プラの「水族館の巨大アクリルパネル」など、日本の工業製品の質の高さは世界的に認められています。

via: iPodは日本の町工場の技術から生まれた? 世界に認められた日本のすごい技術 – 新刊JPニュース

 

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kum@gundariホルホルヲ Recent comment authors
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ホルホルヲ
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ホルホルヲ

最近のくだらない日本絶賛番組なんか
露骨に「この技術で世界が救われた!」とか「世界が注目、日本の◯◯」みたいな
下請けや零細がいかにもシェアを持っているように言いますけど、

実態はそんな末端程度ならいくらでも替えがきくと、アップルみたいな会社は考えているんじゃないんすかね。

日本国内ですら大手自動車メーカーが値段競争のために
末端にしわ寄せをかけているような現状なのに
それ以上に生産を広く分散させているアップルのような企業が
末端のことを考えるなんて有り得んだろうに。。

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ホルホルヲ
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ホルホルヲ

@gundari
自分の商品価値を履き違えているといったところですかねぇ、
そういう社員さんとか世間知らずの愛国者さんは。

kum@
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kum@

勘違い、しているんですかね?
ネトウヨさんたちはホルホルしていて、僕には見えない何かを見ているんでしょうがw
仕事をしている人たちが自分の技術を客観的に見られていないという例は確かに散見しますが
発生率はそこまで高くないような気もします。

燕でipodの研磨をやめたのもAppneに支配されるのが嫌だったからだと思うので
(Apple帝国の野望などからの抜粋)、現実を全く見据えていない経営者はあまり多くないようにも思います。
もっとも私の周りだけの話かもしれないのですが…。

迦陵頻伽
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迦陵頻伽

このような事が日常的に起きているから酷くはないというのはおかしい。
日常的に酷い事が起きているという事。