危機に瀕するドイツの好景気、ユーロ債務危機の再来?
[ニューヨーク 15日 ロイター] – 15日のニューヨーク外為市場では、スイスフランが対ドルで一時28%近く急上昇した。スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)が対ユーロで設定していた上限を撤廃すると発表し、スイスフランが主要通貨に対して全面高となった。
ユーロ/スイスフランEURCHF=EBSは、2011年9月以降無制限介入ラインとしてきた1.2000フランを突破すると、一時0.8500フランに急落。その後買い戻されて終盤は15.9%安の1.0106フラン。
ドル/スイスフランCHF=EBSは2011年以来の安値となる0.7360フランをつけた後、終盤は14.6%安の0.8697フランまで持ち直した。
またユーロはユーロ/スイスフランの急落の影響もあって全面安となった。市場はSNBの決定は欧州中銀(ECB)が量的緩和策に乗り出すサインと受け止め、ユーロを売り込んだ。
今度のスイスフランの動きというのは、単にFX的な歴史というのではなくて、通貨危機の再来という経済史の方に動きを残す歴史的な動きになるものの可能性があって、仮に一番最悪のシナリオに沿って動けばアジア通貨危機の再来、欧州債務問題の再燃、中南米・インド・タイ・インドネシアのバブル崩壊に直結する可能性が高い。
並行してシェールバブルの崩壊という大きな奈落も口を開けている状態で、仮に一番まずいシナリオに沿った動きになればリーマン・ショックの何倍もの勢いの恐慌になるんだろう。
反面で、ロシア・中国が中南米とアフリカでプレゼンスを伸ばす結果になって、新しい冷戦が顕在化するきっかけになりかねない。
ロシアが天然ガスのカルテルを形成して防衛に介入した結果、カタール始め中東の金持ち国家にどれほどの影響力を持っているか?
今から通貨危機が顕在化する中で、弱体化する中南米の一次産業の命綱になる立ち位置に居る。
今回の事について予想していたのかどうか、それは藪の中の話だけど、中国とロシアは通貨が不安定化する以前から豊富な外貨保有高を利用して中南米とアフリカ、中央アジアで通貨スワップ協定やFTAを積極的に開拓して、人民元建ての取引や物々交換のスワップ窓口を開設していた。
その間、西側から見捨てられたバブルからふるい落とされた国家の債務危機に介入しまくっている。
【参考消息】中国と締結した計110億ドルのスワップ協定に基づき、アルゼンチンは4回目の分割払いを求め、これによりアルゼンチンの外貨準備は4億ドル増える。
米ブルームバーグサイトの13日付報道によると、アルゼンチン中央銀行の関係者は近いうちに資金が届くと匿名で示唆した。
中国人民銀行と締結したスワップ協定を通じ、アルゼンチンはこれまでに23億ドルを獲得しており、これによってクリスティナ・フェルナンデス・キルチネル大統領が7月以来、債務不履行のため減りつつある外貨準備を一時安定化させていた。アルゼンチン中央銀行の資金は2014年4月に8年以来の最低となる267億ドルに落ち込んだが、2014年末に300億ドル以上に戻ってきた。
アルゼンチン政府によると、ペソで融通された人民元はほかの通貨に両替できるほかに、返済に用いることもできる。中国とロシアは2014年10月に3年を期間とするスワップ協定に調印し、総額は1500億人民元となる。
◆ 中国、ラテンアメリカへ巨額投資表明
フォーラムでは、習主席とベネズエラのマドゥロ大統領などの個別会談も行われた。習主席は演説で、インフラ整備、エネルギー資源開発、通信、農業、技術革新のため、2019年までに350億ドル(4兆600億円)の借款を約束した。さらに2020年から10年間で、2500億ドル(29兆円)の投資をする意向もあると語った。CELAC加盟国の中には、台湾を承認し中国とは国交のない国も12あるが、これらの国にも借款を提供する用意があるという。
中国と同地域との取引は、2000-2013年で約22倍に成長し、2750億ドル(31兆9000億円)にまでなっている。中国は2020年からの10年間で、さらに5000億ドル(58兆円)まで成長させると意気込んでいるようだ(以上、エル・パイス紙や中南米インフォラータム・レポート)。
◆ 中国はベネズエラへ集中投資し、石油を獲得
中国にとって重要な国は、ブラジル、アルゼンチン,ベネズエラ、エクアドル、チリ、ペルーだ。ブラジルは、中国にとってラテンアメリカ最大の貿易相手国である。中国には主に大豆や鉄鉱石を輸出している。昨年7月には、両国の新たな協力事項が確認された。ブラジルの飛行機メーカーエンブラエル社は、60機、32億ドル(3712億円)分を中国へ輸出することも決めている。また中国の投資は主に石油開発に向けられている。
アルゼンチンはブラジルに次ぐ貿易相手国であり、中国には主に大豆を輸出している。エクアドルは石油を輸出している(今回、同国には53億ドル(6148億円)の借款が決まった)。チリは生産する銅の3分の1を中国に輸出している。ペルーも同様に銅を輸出している (英国BBCムンド他複数)。
一方で中国は新興国バブルの下支えをしてきた先物に積極的に売り介入していて、銅の市場でものすごい物量の銅をめちゃくちゃな勢いで売り続けている。
他にも実物金、鋼材と売り崩されたら動揺する市場に打撃を与える現物を世界一保有している状況で、今後の市場の動きは巨人の動きに怯えながらのものになるんじゃないだろうか。
俯瞰したら食料と燃料、メタルのマーケットメーカーになろうとする強固な意志が伺えるもので、そのためなら肉を切らせて骨を断つという発想を持っているようにも見える。
同じようなタイミングで増産の強固な意志を示しているOPECの動きを見て完全に無関係だと思う奴はよっぽどのお人好しだろう。
韓非子や孫子に問うまでもなく、市場や経済というのは、優れたプレーヤーである以上に支配者の立ち位置になることがもっとも重要なもので、スイスフランの動きに乗じて更にプレゼンスを高めようとするのかもしれない。
仮にそうなった場合、ドル高政策に舵を切っていたアメリカは貿易的な損はあまり受けないのだろうけど、日本はたまらない結果になるんじゃないだろうか?
定石通り有事の円買い、と円高になってくれるに越したことはないんだが。
アジア通貨危機の時どうだったか?
インドネシアで地元の人と酒を飲んでいる時に当時の話を聞いたけど、店頭から商品が消えて、店も閉店。
売ってる間に値が変わるから何もかもが崩壊するらしい。
シェールバブルの崩壊で原油安のメリットが消えてしまい、
通貨危機に乗じて金融・サービスセクターを台頭させようと思ったら円は高くならない。
そしてホントなら安く買えるはずの大豆や鶏肉を高値買い。
日本的にはこういうシナリオが最も困ると思うんだが。
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[ニューヨーク/ロンドン 15日 ロイター] – スイス国立銀行(中央銀行)が15日にスイスフランの対ユーロ上限を廃止すると発表したことを受け、大規模なフランのショートポジションを抱える投機筋やマクロヘッジファンドが多額の損失を被りそうだ。
ショートポジションの規模は35億ドル超と、1年半強ぶりの高水準に膨らんでいた中での上限撤廃となり、フランは対ユーロとドルで急騰した。
オムニ・マクロ・ファンドのストラテジスト、クリス・モリソン氏は「全ての投資家は(フラン上限という)大掛かりな政策に投資していた。政策の廃止を受けて誰もが途方に暮れている」と述べた。
米商品先物取引委員会(CFTC)が9日発表したデータによると、スイスフランに対する取組高は2万4171枚の売り越しとなり、売り越し幅は2013年6月以来の大きさとなっていた。また、オプション取引のショート662枚を加えるとショートポジションは2万4833枚、1ドル=約0.87フランのレートで計算するとショートの規模は35億ドルとなる。
マーク・インベストメンツ(米カリフォルニア州)のアクセル・マーク社長は「昨日までは堅調で、われわれの今月のリターンは2%となっていたが、スイス国立銀行の上限廃止でリターンが消えた」と明らかにした。
半面、危機を免れたところもある。
ロンドンに拠点を構えるインサイト・パレートは、昨年のうちにフランのショートポジションを解消していた。
同社外為部門トップのポール・ランバート氏は「スイス国立銀行がマイナス金利導入に動いた際のスイスフランの動きが気に食わなかった。フランは市場で売りに持ちこたえられていなかった」と述べた。
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