自転車操業は仕事だけにかぎらず。
事態が動いたのは2月末。日を追うごとに財務悪化に歯止めがかからない東芝が、入札参加者に出したリクエストは以下の通り。
(1)買収金額の2割を3月24日までに支払うこと。いかなる理由があっても東芝は返済しなくてよい。
(2)残り8割の金額は3月末までに支払う。仮にクロージング(事業譲渡)ができない結果になっても、うち350億円について東芝は返済しなくてよい。
この要求に対して、「(コニカミノルタと組んだ)英ペルミラや(三井物産と組んだ)米KKRら投資ファンドは、グローバルスタンダードから逸脱している」(関係者)と憤りをあらわにして、実質的には戦線離脱。
近頃身近によく耳にするお悩みNO1が自転車操業。
東芝やシャープに限らず、大も小も行き詰まりにぶつかり始めた時代。
海運業者は2013年の繁忙が嘘だったような暇に悩み、再来年以降の新規受注をどうしようか造船も頭を抱え、転落した過去の大企業は想像もつかなかった次元の資金繰りに行き詰まる。
(ディールの条件が民事再生法みたいでびっくりだ。)
今から内容的劣化が避けられない日本の状況で、いろんな企業の未来をラオックスの株価が予言している。
行き詰まりは激しさを増すし、インバウンドを当て込んでた小売店は泣きを見ることになるだろう。
ちょっと前に、恵比寿→渋谷を道に迷いつつ散歩してつくづく思ったけど、「店ビジネスの聖地渋谷」でも、個人商店が言うほどない時代になった。
元々、時代的に個の器量で勝負するというのはなかなか難しい現在に、渋谷のような街ですらチェーン店に息の根を止められる店が激増してるってことなんだろう。
(ただのイメージにすぎないけど渋谷って洒落た店主が経営する個人商店の巣窟の印象だったのに、特に駅前近辺のチェーン店の比率には驚くばかりだった。)
ところで、自転車操業ってのは仕事だけじゃなくて個人の人生でも、自発的な人生を生きられない多くの人に、世相と連動して押し寄せる。
なにより、社会のムードに影響されたメンタルは、社会がネガティブならやはりネガティブになりプレッシャーに弱くなっていく。
自転車操業との上手な戦い方ってのはやはり苦境に陥った個人にも通底している。
自転車操業=人生の苦境=籠城戦
「むなしかったですね。長時間労働した方がお金をもらえる業界の構造もあって、早く仕事を処理できる僕より、遅くまで働いている新人が評価されることにも納得できませんでした」
そんな彼の満たされない心を癒したのは、ももクロをはじめとするアイドルのファン活動だった。
「彼女たちが、ひたむきにがんばった分だけ着実にブレイクしていくのを見ると、能力や努力が正当に評価されて、そこに自分も貢献できるのが嬉しいんですよ」
地方公演には泊まりがけで遠征、オフィシャルグッズも買い漁り、一回のライブツアーで注ぎ込む金額は20万~30万円以上。小さなITベンチャーに転職してからは給料も大幅ダウンし、アイドル費用が家計を圧迫するようになった。
東芝にせよシャープにせよ、自転車操業との闘いで負けたというのが事実上の解釈になるんじゃなかろうか。
(勿論、何年も経って振り返った結果でもないと、トータルでの成否はやはりなんとも言えないけど。)
自転車操業と苦境との闘いの基本的な(守備側の)ルールは
・決して営業的な成功での解決を目論んではいけない
・自発的な活動に依存しての解決を図ってはならない
この二点が肝要になる。
東芝とシャープは、両方に依存した結果、虎の子を吐き出して大恥をかき、後々の世代に禍根を残した可能性が高い。
基本、落ち目の時の自発的な行動は、その場しのぎの苦し紛れの思いつきを動機としている場合が多い。
どんだけ精密な計算に基づいて正しい行動をしているように思えても、相手に持ちかけた金額が実は問題解決に至らない金額だったり、行き詰まりを原因として鈍麻した思考能力で考えた筋書きは大抵どこかに決定的な抜け目がある。
引用した記事の人が仕事の不遇をごまかすためにハマりこんだアイドル活動にしても、この人はそもそも低い待遇に納得していなかった。
つまり、不満の解消は抜本的には転職でしか解決できなかったはずだ。
しかし低い待遇の状態でアイドルに際限なく金を突っ込んで、退職してから転職するまでの期間や、待遇が安定するまでの期間の生活はどうするつもりなんだろうか。
つまりこの人も苦し紛れの行動で身を滅ぼす原因を作ってしまったわけだ。
行き詰まった人と会話していていつも思うことが「甘えた希望を持つな」と言う事だ。
皆、必ず目先の希望にすがりついてかろうじて正気を保って毎日を生きている。
次に始める○○が当たるはずだ 今度の▲▲でいくら位になるはずだ こんなことばかり言っている。
そして99%それは実現しない。
何の仕事にせよ、女にせよ何かの可能性にせよ、基本的に行き詰まってちょっとおかしくなってる奴の競争相手は万事そつがない進行で生活出来ている健常者で、そもそも始まりの段階で不利なわけだ。
だから当たるはずの○○は失敗するし、▲▲の受注に失敗する。
そもそも希望に逃げ縋らないと正気を保てない根性なしが競争で勝てるほど世の中甘くない。
営業的な努力に属する行為で自転車操業は解決しない。
いじめられて悩んでいる少年は、空手を習う前にいじめられない立ち回りを覚えたほうが結局解決が早いのと同じことだ。
神様が行き詰まった奴にだけオーダーメイドで奇跡を起こしてくれると思ったら大間違いだ。
そんな幸運な奴ははじめから行き詰った状況に陥らない。
女に異様な怨念をつのらせているミソジニストも、世の女の性根を叩き直すよりは、金を儲けてみたり体を鍛えてみたりして、自信のなさゆえの自分の問題を解決するほうがよっぽど世の中が快適になるはずだ。
沸いてくるクソコメ、踊るクソリプ。年単位でつきまとうネットストーカー。
日本有数のネトウヨ・キチガイ・ネットトロルウォッチャーです。
主に経済・哲学・ライフハックを扱います。
コメント欄は日本有数の保守(ホモ)、ネトウヨ、ネットトロル博物館となっております。
義務教育で学び損なったらどこまで悲惨な人間に育つか?
子育て世代の貴重な見本がコメント欄に大量に所蔵されています。
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厳しいですねえ・・・。
人間は無為には中々耐えられません。
また、ゆで蛙になるくらいならいっそ抜けだせという議論だってありえます。
もちろんそのときのステージによって対応を変える、という話なのでしょうが
それこそ煮られた頭で正常な判断が出来るものか…。
特に私を含めてせっかちな人間には、ただ待つという行動は苦痛そのものだったりします。
そういった行動で自分を磨け、ということなんでしょうが…。
「待つこと」とありましたが、私が寺の仕事などで、
特に80を過ぎてまだ現役のお年寄りの方などとお話する時、
(たまに軍荼利さんに学んだことを話すと喜んでもらえたりしますw)
やはり苦境の時の忍耐が大きく話題に上りますね。
昔の死と常に同居していた世代の方は特に強いです。人にもよりますが。
「人間なんて生かされてるものだ」という動かしがたい観念があって、
自分たちの分限をよく知っているせいか、これも修行だ、と
鷹揚にかまえられていたりしています。
忍耐とは現実を誠実に受け入れ、いただくために必要なことだ、と。
そしてこういう人ほど仏教を大事にする。
今世間で断捨離とか足るを知るとかいう言葉が持て囃されていますけど、
当時は仏教の、全てのものは刹那ごとに生滅し、
とどまれるものは何一つない、という刹那滅の教えが、
今とは比べ物にならないくらい実感を伴っていたのでしょうね。
どうも(自分も含めてですが)
好景気の上昇気流の中で育ってきた世代というのは、
苦境を苦境と認められない性質があるように感じています。
一般化したらいけないかもしれませんが。
苦しみ悩んだりあわてたりしている弱い自分の姿を拒絶している所がありますね。
何かあって浮足立った時は、無理に心を抑えようとせず、
あわてるだけあわてた後、落ち着いてから初めて動けばいいと、
最近は思っています。
本当に為になる。
待つこと、これが一番難しい。
まあ、地元のスーパーか、コストコで
働いていこうと思っています。
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それと話は、変わりますが、2015年1月30日に軍荼利さんが、UPされた
『スカイマーク民事再生法申請、プレパッケージ型再生に失敗
”航空業界の拓銀事件”に学ぶ景気の転換点 2015年~の経営手法に変化必要』
という記事の、コメント欄の中で、軍荼利さんのコメントが、一部消えてしまっているのですが、
どのような事が書かれていましたっけ?よろしければ、教えてください。
(確か、営業車に乗っているドライバーの顔がアホ面、云々。だったような。)
ずっと、気になっていまして。大分、昔の記事ですみません。
@去年大学中退の俺氏。涙。
今からの時代、就職するなら不人気の枯れた古い企業が一番の狙い目だって趣旨でした。
目立たない裏方で、かつ皆が必ず使っているもの。
そういうのはコンビニ冷蔵庫、自転車のタイヤ、店舗の電飾、厨房機器、売り物の紙箱、こうしたものの隅っこで、小さなロゴで目立たない自己主張をしています。
ベンチャー企業への就職のリスクは一昔前より跳ね上がってます。
雇われていくらか楽をしたいなら、というやつです。
大学中退でも、中小の企業で割りきったら行けるところはそれなりにあるかもしれませんよ。
スーパーやコストコは必ずダメになります。
今から20年で、試算レベルで人口が3割くらい減る自治体の山、消えてなくなります。
医者も食えなくなるし、ガス屋とかもダメになる。
電力会社だってリストラするかもしれない。
私は第一次産業が堅いと思いますねぇ。
あと、不動産。
試算が3割ってことは、下手したら半減ってことですから。
消えてなくなるものは静かに見送ってあげましょう。当事者になったら悲惨ですよ。
神奈川では一昔前にアリック日進と言うチェーン家電屋があり
今では1店舗プラス駐車場経営の個人商店となったのですが
管理人さんの主張通りに余計な事をしなかった為に自転車操業での倒産は免れました
一発当てようとしていたら会社更生法まっしぐらだったでしょう
@梨さん
昔は家電販売も地方の大型チェーンがありましたね。
首尾よく大手に会社を身売りした会社は賢かったです。
財務的アプローチでの問題解消=会社売却
営業的アプローチでの問題解消=大手との対抗
あれもこの記事で言う路線の結果の一類型だと思います。
@kum@ さん
>そういった行動で自分を磨け、ということなんでしょうが…。
磨くという積極的な自己啓発より、「どの時点までなら死なずに済むか」という検証ですね。
限界点を知らないからこそ、恐怖に駆られて動き出すわけですし、知らないからこそ手遅れの状態でわざわざ寿命を縮める自殺行為に出るのが人間です。
必死で目を背けている「覆しようのない終わり」を日頃から色んなパターンを推測して理解しておくことが大事なんです。
わかってさえいれば、限界の手前までは静かに時を待てますし、わかっていたら死ぬ前に撤退するという判断が出来ます。
しかしそれが簡単ではないのはその通りだと思います。
溺れながらも助けてくれと言えないのが人間です。
希望的観測の排除は難行です。
@法爾無名 さん
>苦しみ悩んだりあわてたりしている弱い自分の姿を拒絶している所がありますね。
なにより押されて負け犬、惨めになった自分の姿に耐えられないんですよ。
勝ちばかりが戦じゃないと思ってたら流せるんですけどね。
実際、あの信長公でも局地戦では負け戦の積み重ねで、撤退の素早さが売りだったのに、日本人は信長公を常勝将軍と思ってしまった。
肝心なのは負けた時の負け方なんです。
死ぬ前に負けられたら、負けたけど負けてない事になるんです。
こんにちわいつも拝読させていただき
勉強させていただいております。
下記の内容ですが
>私は第一次産業が堅いと思いますねぇ。
あと、不動産。
人口減に不動産?
売買も賃貸も投資物件も人がいなくなるのに大丈夫なのでしょうか?
@バンバン さん
人が減っても、集中する人口は仲介の必要な物件と入居者を必ず産みます。
規模が縮小しても業界は消えません。
バブルが崩壊して土地が7分の1以下になった日本で相変わらず営業してる現在がそれを証明してます。
軍荼利さん、お返事ありがとうございました。
軍荼利さん ご回答ありがとうございます
よくわかりました ありがとうございました
深くとても重みのある記事で参考になりました。
ところで、軍茶利さんは、人生で「自転車操業」状態になったことはございますか?
@再読君 さん
私も含めて多くの人が人生、自転車操業を反復的に経験するものです。
苦境に陥るのも茶飯事です。
都市部はそうなんだろうけれど
田舎では既に土地を手放したい奴ばっかりで、買う奴なんてほとんどいない
不動産屋が次々潰れて貸しビルになっている。無論誰も借りない
今は都市部の業者が入ってきて姥捨てもとい老人ホームをがんがん建てているけど
人口がどんどん減るんだから追加される老人もどんどん減る
高度成長期に労働者を住まわす為に作った大量の団地が今や廃墟になっているように
いずれ老人ビジネスの残骸も廃墟となる
地方の市街地はいずれ軍艦島やpripyatのような言わば死骸地になるのだ
無人となった土地に原発だけが稼動する風景を見る前に俺は老いて死ぬ。それだけが救いだな