代々木ゼミナール:7拠点に集約へ 少子化、25校舎整理
毎日新聞 2014年08月23日 東京朝刊
大手予備校「代々木ゼミナール」(本部・東京都渋谷区)が、北海道から九州まで全国展開している25校舎を整理し、東京、大阪、名古屋など大都市圏の7拠点に集約する方向で検討を始めたことが分かった。少子化に伴う受験人口の減少が理由とみられる。代ゼミ広報担当者は「情報を把握していないので確認できない」としているが、少子化が進む中、大学とともに予備校や塾の受験産業も大きな転換点に立たされている。
代ゼミは1957年に大学受験の予備校として開校。現在では予備校の25校舎や芸術系大学を目指す受験生を対象とした造形学校のほか、大学入試対策の模擬試験や高校への授業コンテンツ配信といった各種教育事業を展開している。
関係者によると、代ゼミは今月、講師らに対し、受験人口の減少や受験生の現役志向を受け、全国的な校舎展開が困難になったと説明。本部校代ゼミタワー▽札幌校▽新潟校▽名古屋校▽大阪南校▽福岡校▽造形学校(渋谷区)の7拠点に集約する方針を示しているという。今年度はこれまで通り運営し、再編は来年度以降になる見通し。講師の配置なども未定で、生徒や保護者らに対しては9月以降に状況を説明するとみられる。
大学志願者数は、18歳人口が205万人となった1992年に92万人とピークを迎え、その後年々減少。2012年には66万人になり、20年で26万人も減った。今春入試では4年制私立大の46%が定員割れするなど厳しい状況が続いている。【澤圭一郎、坂口雄亮】
代々木ゼミナール終了、とかいう記事をちらほらまとめサイトなんかで見かけるけど、今回の代々木ゼミナールの動きで指し示してるのは代々木ゼミナールじゃなくて日本経済の終了なんだけどね。
注目すべき点は大筋で4つ有って、
代ゼミ閉鎖が示唆する4つの先行き
- 事業会社冬の時代到来
- 少子高齢化、回復の見込みなし
- 10年程度の期間での不動産の先高・外資チェーンの進出
- 教育の陳腐化、中間層以下の労働者の所得激減
およそこういう現象の先行指標になるだろう。
それぞれ解説すると、1の事業会社冬の時代到来というのはもう現実になってしまったことだ。
つまり、普通は代ゼミみたいに土地や建物を購入・建設して、基本的には通常の環境だと自分の事業を展開する。
なぜならそのほうが金が儲かるからで、購入価格に地主の利益を載せた賃貸オフィスを借りてでも事業をしている会社を見ればそれは誰しも理解できることだろう。
ところが今の時代、想定する事業利益を得られない状況になってきて、ソニーでも自社ビルを売却したりし始めたわけだけど、この一事からも明らかなように「事業をするより地主として立ちまわったほうが金が儲かる時代」になってしまったということだ。
今までだと、例えバブルの時代を挟んでも代ゼミみたいに土地と建物に投資して十分回収できる利回りが出せていたわけだけど、それはもう出来ない時代になったってことだ。
学習塾なんてのは相応の規模がある場合はよほど儲かる事業で、他の業種はバブルを経由して倒産しまくったけど、大手のこうした予備校や専門学校は健全に生き残ってきた。
なぜなら生徒の人数から収益が容易に見通せる業種で、牛の涎のごとくだらだら金が入ってくるからであって、そういう事業をやめにしてでもリスクを回避しようと判断する時代になってしまったのだ。
良い立地の土地を購入して建物を建ててまでペイしていた事業をやめるという判断をしたのは、仮に数十年前からの予測があったとしても並大抵のことじゃないはずだ。
2の少子高齢化の回復の見込みなしというのは、若者に日常的に触れているああした産業の経営者ですら確信を持つほど確かなものになっていて、将来的な見通しを補強している。
3番目に、代ゼミのビジネス展開を見ての通り、商業施設やホテルに業態転換しているけど、最終的には外資系や大手チェーンに向けての100年借地や売却を狙ってると見ていいだろう。
売却は単価の関係上なかなか難しい物があるけど、近頃チェーンホテルは地主と100年借地の契約で土地を長期貸借している。
この方式で売買に程近い金を得ることもできるし、円安と資産安で値頃になった日本に外資系が進出するという見通しを持ってるはずだ。
現実に代ゼミが展開している一等地エリアではホテルの価格が高騰しているわけで、価格競争力のある外資チェーンは進出を狙ってるだろう。
中小規模のお手頃価格のホテルがおそらく今後も進出してくるだろうし、ハンバーガーショップやカフェにかぎらずこの2,3年限定で進出する外資は激増するはずだ。
つまり期間限定で地主に利益をもたらせる需要は確かに見込めるだろう。
4番目の教育投資の陳腐化、中間層以下の所得減少も動かしがたい現実だ。
中途半端なビジネス能力ではもうパソコンに太刀打ち出来ない時代になってきている。
個人のノウハウよりOFFICEアプリケーションを使いこなせる新人の方が役に立つ時代になってきた。
そういう時代において予備校経由で大学に行かせてペイするかといえば、投資と収入は見合わない時代になる。
早晩大学の進学率は激しい下落を示すはずだ。
これらの判断をまとめると、事業環境の悪化によりオフィス需要が減少し、オフィスビルオーナーは煮え湯を飲まされる時代がやってくる。
恐らく中小規模のオフィスビルは空室率4割ほどになるだろう。
少子高齢化が回復の見込みを示さない中で、外資系のチェーンがさらに進出してきて局地的な競争はますます激化する。
その狭間の10年間だけ不動産が一部先高傾向を示すはずだ。具体的にはホテル用地・転用可能な建築物、商業施設、高齢者向けマンションになるはずだ。
いずれにせよ先行きが暗いのは代ゼミじゃなくて日本全体ということで、事業リスクを排除して地主として権利を維持して、既にペイアウトが終わった資産を出せるだけ利回り出して運用するというのは極めて正しい判断だといえる。
ちなみに健全な環境下だと事業会社は土地の投資に対しての収益は年次で少なくとも税引前で3割は出てないと話しにならない。※
権利としての資産運用では7-12%がいっぱいいっぱいになるだろう。23%、利益の2/3を捨ててでもリスクを排除すべき環境になってしまったってことだ。
※つまり財務上問題にならない範囲での自社ビル建築じゃなかったら、大概の場合は建てる意味が無いってこと。工場は別でね。
まぁそれにしても大胆な決断だね。
どんなに明らかな現実をつきつけられても明日も今日と同じような日が続くと
どんな人間も思ってしまうものだからね。
代々木ゼミナールの経営者はただものではないってことだな。
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全国27校舎の7割を閉鎖する方針が明らかになった大手予備校・代々木ゼミナールが、以前から旧校舎などを活用した不動産業を進めている。
古くなった建物をホテルや会議室といった形態に改装しただけでなく、おしゃれな商業施設になったところまである。
京町屋をイメージしたホテルに
商業施設「代々木ヴィレッジ」ウェブサイトたとえば札幌校の旧校舎は2013年11月から貸会議室大手のティーケーピー(東京・新宿区)に貸し出されている。同社が内部を改装して企業や個人ユーザー向けに、会議室や宴会場として利用できるようにした。同様に高層ビルの「本部校 代ゼミタワー」に校舎を移転してから、本部の古い校舎の一部が、空きスペース活用のため会議室として貸し出されている。
ホテルに生まれ変わった校舎もある。京都校の別館が10年10月に「カンラ京都」(京都市・下京区)としてオープンした。コクヨグループのUDSが「不動産の有効活用」のコンサルティングや企画・設計、運営までを手掛ける。築20年の校舎を、京町屋をイメージしたデザインに一新した。
京都駅近くの学生寮だった建物は11年4月に「ホテルアンテルーム京都」に改装された。ホテルとアパートが一体化した施設で、ギャラリー・朝食レストラン・バーを併設し、「京都のアート&カルチャーの今」を発信するというのがコンセプトだ。
11年8月にはサザンオールスターズやMr.Childrenなどの音楽プロデューサーである小林武史さんを迎え、商業施設「代々木ヴィレッジ」をオープンした。
[22日 ロイター] – 米マサチューセッツ工科大学(MIT)のデービッド・オーター教授が執筆した論文で、オートメーションやコンピューター化により、世界中で高学歴の人や未熟練労働者に対する需要は高まったが、中間レベルの教育やスキルの人への需要が低下したことが明らかになった。
論文はワイオミング州ジャクソンホールの経済シンポジウム向けに執筆された。
ただ実際に賃金が上昇しているのは高学歴の労働者のみであり、未熟練労働者や中程度のスキルの労働者は賃金が低下している、という。
論文は、その背景として、中間スキル層の職が減るに伴い、この層の労働者が未熟練向けの職に流れ込んだことを指摘。その結果、未熟練向けの職は買い手市場となり、賃金に低下圧力がかかったとしている。
教授は「コンピューター化は雇用の両極化に寄与したが、労働市場がタイトな状況以外では、賃金の両極化につながるとは考えにくい」とした。そのうえで、コンピューター化時代の長期的な戦略は、人的資本に積極投資することで、「ハイテクに奪われるのではなく、ハイテクに補完されるようなスキルを持った労働者」を育てることだと主張した。
沸いてくるクソコメ、踊るクソリプ。年単位でつきまとうネットストーカー。
日本有数のネトウヨ・キチガイ・ネットトロルウォッチャーです。
主に経済・哲学・ライフハックを扱います。
コメント欄は日本有数の保守(ホモ)、ネトウヨ、ネットトロル博物館となっております。
義務教育で学び損なったらどこまで悲惨な人間に育つか?
子育て世代の貴重な見本がコメント欄に大量に所蔵されています。
>そういう時代において予備校経由で大学に行かせてペイするかといえば、投資と収入は見合わない時代になる。
早晩大学の進学率は激しい下落を示すはずだ。
予備校経由で行かせるような大学が選別されるだけで、まだまだ予備校の需要はあると思う。
もちろんこれから大学の進学率は減るとおもいますが、上中位大学は大丈夫なんじゃないんですかね?
下層の大学が無くなって、行ける大学がない奴が増えて進学率が下がるって感じですかね。
@愛国左派 さん
行ける大学がない奴<行く金が無いor行かせてもこいつじゃダメだという冷静な見切りをする家庭増加
になるのが正解だろうと思います。
もちろん予備校の需要はあると思いますけど、今からはサテライトに強い組織の独壇場になるんでしょう。
近所で20年近くやってた食事処が葬儀屋に商売変え。
地元はパチンコと老人ホームと葬儀屋が多い。
うちの街は高齢者が多い。
喧嘩と窃盗は老人のもの
信号無視は当たり前
後ろを見ない、ウインカーをつけないドライバー
色気づいた勘違いババアの客が店内居座り
駐車場のど真ん中をおしゃべり占領
更年期障害と痴呆を逆手に取る開き直り戦法
都合が悪くなると具合が悪いと泣き落とし
延々とオチが見えない昔話
スーパーの惣菜値引きタイムで半額になってないと文句をつけ
100円回転寿司をグルメとほざき
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少子高齢化社会は毎日が刺激的すぎるよ
グンダリ さんへ
返信ありがとうございます。
>行く金が無いor行かせてもこいつじゃダメ
ここは自分は貧乏人でも奨学金やローンで行く前提で考えてましたwたしかに、これからはそれすら無理な家庭も増えるでしょうからね。
>今からはサテライトに強い組織の独壇場になるんでしょう
確かサテライト授業を始めたのは代ゼミだったような気もします、しかもその手の方法は得意だったはずだと思ってたんですけどね。
三大予備校の中で代ゼミが最初に脱落したのはホントに以外でした。
国公立理系は駿台、国公立文系は河合、その他のアホ学校担当は代ゼミだったのが
アホ担当を東進にとられたのも大きい気がする。
進学が盾に取れなくなったら、中学高校がやばくなりそうだなぁ。
グンダリさん
どんなに明らかな現実をつきつけられても明日も今日と同じような日が続くとどんな人間も思ってしまうものだからね。
僕もそう思っていました。
最近では白元の件は驚きました。良い商品があって順調だと思ってましたからね。
@名無し さん
「最悪の未来シリーズ」これを想像しとくのが組織指導者の基本的義務ですね。
うまく行ったらどうするか的な部分は割とどうでもいいですし、組織力に限界がある以上手法の検討は些事にすぎないわけです。
これがわかってない組織には「未来がある日突然やってきた」となるわけです。
個人に置き換えても、自分の人生計画において必ず考えておくべき基本でしょうね。