シェール、蓄電池、燃料先物・・・資源高社会に投資した各社の業績、甚大な影響
シェール革命 vs. OPEC価格戦略
価格下落の原因の一つは、欧州や日本など主要国経済の低迷と、中国など新興国経済の減速で世界的な原油需要が減少し、「供給過剰」の状態に陥っていることがあげられます。これに昨年11月下旬のOPEC(石油輸出国機構)総会での減産見送りが重なり、産油国は価格下落を容認したとして、原油価格は下落を続けています。
今回の価格下落局面で指摘されているのがアメリカのシェール革命とOPECの価格戦略との「対決」です。アメリカはシェール革命で原油に代わるシェールオイルの生産が増え、以前のように中東から大量に輸入する必要がなくなったため、エネルギーの中東依存が減っています。このため、原油の市場シェアを失うことを恐れたOPECの盟主・サウジアラビアが、1バレルあたり50ドルから80ドルとされるシェールオイルの生産コストを下回る水準に原油価格を誘導し、採算割れで生産を成り立たなくさせるという見方です。いわば「シェールつぶし」です。市場価格の下落をあえて容認し、OPECの市場支配力を維持するというシナリオと見る向きがあります。
via: 原油価格の下落容認は「シェールつぶし」か ── OPECの原油価格戦略 (THE PAGE) – Yahoo!ニュース BUSINESS
原油安で国民生活は大分上向きになるし、末端の運送業者なんかはほっと一息ついてるところだけど、製造業にとっては案外大変暗いお知らせで、ついでに機関投資家や金融機関、商社もかなりの打撃を受けている。
BtoCのセクターは短期で助かるはずだけど、長い目で見たらBtoBにとってはネガティブで、彼らが当面は景気の足止め役になっていく方向だろう。
まず家電系だけど、蓄電池と省エネに活路を見出して、バッテリーの売上を伸ばしていた各社は今頃眉間にしわを寄せているはずだ。
車の燃費関係、ハイブリッドの売上が大分伸びてきていた会社は多く、例えばパナソニックなんかはなにもかもダメになっている中でたった一つの救いだったセクターが死んでしまうことを意味している。
島耕作も経団連なんかに関わってる場合じゃなくなるだろう。
商社も先物に多額の投資をしながら、実需の会社買収も大分派手にやっていたわけで、食料品から燃料まで幅広く打撃を受けるだろう。
これは金融系も一緒。
金の値段まで連動してくるだろうから、帳簿上の資産は大分イタイことになるはずだ。
実際問題、長期的な資源の高騰でとにかくどこの会社もそれに最適化した体制を取っていたわけで、下請けの中小企業は燃料安で喜んでいるところが多いけど、上流の業績を見たら中々のんきなことも言ってられないはずだ。
自動車にしたってもともと高額な自動車はベンツやBMのエコディーゼルに燃費で負けて、中間の価格帯で勝負していたTOYOTAなんかも売上を落とす可能性がある。
東西を問わず自動車にお金をかける所得層の人はその日の金のことが中心の暮らしで、日本でも賃料の安いボロアパートと分譲マンションを比較したら、平均的にはボロアパートのほうが高級車が止まっている現実があった。
それが原油高のせいで燃費を気にしだしてだいぶ変わりつつあったのが、揺り戻しが起きるのではないかと思う。
その時にアメリカの「そういう所得層」の人はでかいアメリカンビークルを選ぶはずで、その手の人がターゲットの分野で競争力が落ちるリスクが有る。
他にも例えば前経団連会長の企業、住友化学なんかはサウジアラビアの石油ビジネスに社運をかけた一兆円の投資をしている。
あらゆる製造業の中で最も巨大な製造設備群のひとつに、石油化学コンビナートがある。原料貯蔵施設や精留塔、反応器など様々な大型装置が圧倒的な存在感を示し、無数のパイプがそれらを縦横無尽に結ぶ。こうした石油化学コンビナートの中でも世界最大級の設備が、サウジアラビアのラービグで稼働を始めた。操業するのはラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニー(通称ペトロ・ラービグ社)。サウジアラビア国営の石油会社サウジ・アラムコ社と、住友化学が対等出資して誕生した合弁会社だ。住友化学は単なる出資者ではなく、実質的なプロジェクト牽引者であり、事業主体である。そして、それは全社をあげて取り組んでいる一大プロジェクトである。
via: プロジェクトストーリー ラービグプロジェクト第一期 1 ペトロ・ラービグ社誕生|住友化学 採用情報 新卒採用2015
話題にはなってなかったけど、石油から出る副産物で繊維などの製品を作るプラント(燃料高騰で利幅が高くなっていた)をアラムコとJVで作ってみたものの、石油が暴落する前から既に稼働率がまともに確保できず四苦八苦していた。
住友化学はその時点ですでに逃げる算段をしていて、交渉の玄人のアラビア商人に苦慮していたものが、原油安で肝心の副産物の利幅が暴落して余計ひどい状況になってしまった。
上述の話の顛末は知らないけど、仮に表面化したら当時の時点で数千億の減損が必要になると言っていた事業の価値はどうなるだろうか?
(住友化学固有のネガティブ要因として、その当時奔走していた事業の主要プレイヤーが高齢や病気のため引退しているという現実もある。果たしてあれだけ優秀な人材が後釜に据えられただろうか?)
今の時点では国民生活にポジティブな影響があるものの、原油高を前提に再構成されていた国際社会にとってはかなりネガティブな現象になっている現実に留意しておくべきだろう。
VSシェール革命でアメリカと焦土戦を戦い始めたアラビアが今まで通り消費や投資のプレイヤーとして活躍するとは到底思えない。
そうなると、ドバイやロンドン、カナダ、中国の沿岸都市部で暴れまわっていた投資資金は一気にしぼむだろう。
買い上がってきた投資家達は為す術もない。
もしアブダビの投資庁が損切りを始めたら恐ろしい金額の債権や株式の売りが出る。
どこまで穏当に焦土作戦を展開するかが鍵になってくるもので、企業決算は安心して見てはいられない。
丸紅は減損で1200億利益幅が減少。
他の会社の決算は来季から影響が出始めるだろう。電機各社が前倒しでリストラし始めている現実を甘く見ないほうが良い。
それくらい資金繰りの先行きが厳しいということをみんな実感してるということだ。
仮にシェールバブルが崩壊したら、アメリカは次に鉱山ビジネスに手を付けるだろう。
掘っただけで金になる、労働者は危ないことさえ我慢すれば馬鹿でも務まるというビジネスが必要だからだ。(中間層復活のために)
その場合、いの一番にアラスカの鉱山群の稼働させる法整備をしてくるはずで、仮にその予想通りの動きをすれば住友鉱山株は狂気の暴騰を演じると思う。
黄色信号の株式市場で第二の是銀を狙うのであれば、別子を塩漬け放置するのも、宝くじよりいい確率の投資になるだろう。
ちなみに、2006年当時の住友鉱山は未採掘鉱山の含み資産が2兆円を超えていた。
ガソリンが安くなって生活が楽になったのに、
あっちこっちでリストラが始まったのでは意味が無いよな。
なかなか、楽ができないようになってるもんだ。
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[東京 26日 ロイター] – 丸紅(8002.T: 株価, ニュース, レポート)は26日、2015年3月期の連結当期利益予想(国際会計基準)について、従来予想の2200億円から1100億円に下方修正したと発表した。原油価格急落に加え、過去最大の買収案件となった米穀物会社ガビロン社の業績が振るわず、1200億円の減損損失を計上することによる。
減損(税効果によるプラス要因400億円含む)の内訳は、1)北海油ガス鉱区で600億円、2)その他油ガス鉱区で350億円、3)チリ銅事業で100億円、4)豪州石炭事業で50億円、5)ガビロン社で500億円──となっている。年間配当金予想は1株当たり26円で据置く。
同日午後会見した国分文也社長は、原油価格急落について「(1バレル当たり)45ドルを割ってくる事態は想定していなかった」と述べた。ただ、減損計上により「来年度以降の懸念は一掃したと考えている」と強調した。
15年度に当期利益2500億円から3000億円と掲げた中期経営計画の目標達成は、「現在の資源価格が続いた場合は、現実厳しい。2000億円の水準を視野に入れて精査している。(中計の)目標達成は1、2年後ろ倒しせざるを得ない」と述べた。
<米穀物ガビロン、相乗効果に遅れ>
13年7月に27億米ドルで買収したガビロン社の減損について国分社長は「ガビロンを含めて米国に穀物会社が(グループに)3社ある。シナジーが相当出てくると織り込んだが、当初予定のスピード感で進んでいない」と説明。「ガビロンの追加損失はないと相当の確度で言える」と述べた。
沸いてくるクソコメ、踊るクソリプ。年単位でつきまとうネットストーカー。
日本有数のネトウヨ・キチガイ・ネットトロルウォッチャーです。
主に経済・哲学・ライフハックを扱います。
コメント欄は日本有数の保守(ホモ)、ネトウヨ、ネットトロル博物館となっております。
義務教育で学び損なったらどこまで悲惨な人間に育つか?
子育て世代の貴重な見本がコメント欄に大量に所蔵されています。
グンダリさんは下ネタから政治まで話題の幅が広い。
特に経済と生命倫理の話は感心させられっぱなしです。下ネタは苦笑しています…
お!久々の経済ネタですね。待ってました!
ラウンドワンはお小遣いになりました。
ありがとうございます。
商社は地雷が次々に出てきますね。今、うめいてます。w
グンダリさんの記事、現状分析のあと、「それからどうなる」が、ホントためになり、面白いです。
下手くそなりにヒントを探して、たびたびチェックしてますが、ホント、久々ですね!
ネトウヨの相手もしてあげなくちゃいけないから、お忙しいでしょうが、
こういう記事の比率がもっと上がるといいなぁ
熱にうかされた彼らを、見捨てず、対話に時間と言葉をかけて懇切に諭してあげられるのを見ると、ホントに優しい人だなと思います。
でも、やっぱ、もっと、経済・企業のカテゴリの話題が増えるといいなあ。