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「読者目線」というクソ思想 転落して当たり前の売上、バカ目線に成り下がった出版業

  1. 経済
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衰退という現実を受け入れざるを得なくなった出版ビジネス

 

「週刊少年サンデー」(小学館)の印刷部数(印刷証明付き)が今年1~3月の平均で39万3417部と、40万部を割り込んでいたことが分かった。

 日本雑誌協会が4月27日に公表した1~3月の平均印刷部数によると、「週刊少年ジャンプ」が242万2500部、「週刊少年マガジン」が115万6059部だったのに対し、「サンデー」は40万部を下回った。

 サンデーの平均印刷部数は13年10~12月に50万部割れ。14年1~3月期の平均は46万部超で、1年で約15%減った計算だ。マガジンも前年同期から約10%減、ジャンプも11%減と、軒並み落ち込んでいる。

 

via: 「週刊少年サンデー」、40万部割り込む 印刷部数で – ITmedia ニュース

 

「出版が売れない」と言われ始めて久しい昨今、最近のネットでは「売れないはまやかし」みたいなポジティブ教の痛い人が色々書き散らしているけど、中の人の危機感や売上のヤバさは本物のようで。

はために見てて思うのが、フリーの人の著しい増加(フリー編集者とか、契約で働いてる人)なんかは「抱えておく握力」の喪失を如実に表している気がするし、しんどそうな出版社員は、精気の失せた顔で「この間作ったムックは結構売れたんです。部数は聞かないで」とつぶやいたりしている。

 

売上減少の表面的な要因は、人口減の中で本を読む根気がない年寄り向けのものを開発し損ねていることにあるような気がするけど、それ以上に出版全体で明らかな傾向はスターになれるコンテンツの不在というべきものなんだろう。

今はワンピースとかナルト(はじめは結構面白かったのに!)なんてのがあるけど、ドラゴンボールとか社会的な何かになるほどのスターコンテンツは減少していて、むしろ昔ヒットを連発した人のコンテンツを使いまわして延命を図る傾向が強い気がする。

 

昭和40年代以降の世代を中心に据えた「焼畑農業」みたいな経営手法が、スターコンテンツの生みの親になるはずの漫画家や小説家をフリーターに追いやったことが大きな原因だろう。

 

そして「見たいもの」を見せる事に特化して、今眼の前で掴めそうな売上ばかりを追いかける傾向が強くなり、多くの出版物はバイラルメディアとかまとめサイト、BUZZメディアと何の違いも見出だせないクズばかりになった。

炎上と批判に及び腰の表現、明日の飯しか考え付かない浮足立った文化、クソまみれの現状は更に彼らを瀬戸際へ追いやることになる。

 

思えば今みたいになる前の日本の活字文化は豊かだった。

本当に宝石みたいな書籍の山で、20年以上たった今でも左手の本棚に居座っているのがかなりある。

そしてそういった書籍からは、活字の隙間から作者が古文書や取材を通じて得た土の匂いや血の温度が伝わってくるし、作中で葛藤する登場人物たちの声が聞こえてくる。

 

活字の凋落は思えば新堂冬樹と共にやってきたような気がする。

 

アニメは詳しくないから知らないけど、「攻殻機動隊みたいに面白いのないの?」という問いに『残念だけど』という返事しか返さないアニメマニアの人々を見る限りではそういうことなんだろう。

なんぼ屈指の名作と言ってももう25年も前の作品、健全に業界が息をしていればアニメが一般化している今の社会で、あれを超えるモンスターも出てきてもおかしくないのに。

 

そしてその現状の生みの親は責任逃れやその場しのぎで生み出された「読者目線」や「お客様視点」だ。

読者目線は立ち読みする者の目線を意味しているし、お客様視点は試食で腹一杯にしようというあさましい根性の言い換えにすぎない。

乞食や白痴と同じ視点で活字や作品を売ろうとして、至って当然の結果が起きている。

 

 

 

 

健全な時代のコンテンツサイクル

 

過去記事でも複数回指摘しているけど、もっぱらこういう土壌を生み出したのは既存の出版社の浅薄な経営方針だった。

バイオハザードとか遊戯王とか、未だにあるのは驚きだったけど、まず文化的な貧困はいつそれが始まったのかはともかくとして、コンテンツの使い回しで「新規読者の流入」を断ち切ってしまったことにある。

 

今の若い人だとあんまり見当がつかない話かもしれないけど、手塚治虫の作品がテレビや雑誌を賑わして、テレビでは宇宙SFの特撮番組に子供がかじりつき、キン肉マンとか次の漫画も生まれていた時代。

このサイクルは大体3-5年位で回っていたもので、ブームの入れ替わりで王者が交代する健全な時代だった。

 

そのサイクルが壊れた今、伸びを失ってジリ貧になって各社がやっている泥縄の焼畑農業はさらに読者を離れさせる。

もともとちょっとずつ減少していくのは人口減の社会で自然現象なんだろうけど、「出版社」そのものから人が離れだすのは今までにない現象と言っていいだろう。

つまり自然減を超えて出版そのものが自滅し始めている。

 

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例えば最近ネット広告で売り込みを図っていた書籍が↑の書籍なんだけど、こんなもんをマジで出版してる会社の歴史書籍を読もうとかまじで思うんだろうか?

落合信彦枠としてはありなのかもしれないけど。

 

こういう書籍は大筋で2つの手法で出版している。

特定の、例えば日本会議とか統一教会、幸福の科学みたいなのがスポンサーになって、「出版した」という事実をもって個人を権威づけする手法。

与沢翼なんかもこの口だろう。

 

もう一つが、ネット上のキーワードを収集して、「今皆が読みたいもの」を分析して出版するというバイラルメディアそのものの出版手法だ。

大きな売上は狙わない代わりに、手堅く数万部を狙うことで売上を伸ばす手法だ。

サニクリーンとかダスキンが同じような手法を採用したら俺は株に投資するかもしれないけど、そういうことをする出版社には汚いものでも見るような視線をプレゼントすると思う。

 

角川はブームを作ることを生業にして巨大化した出版社だけど、ドワンゴの取り込みによってこの手法の大規模なのをやるつもりらしい。

 

 

読者視点の成果物とナマの読者の声

 

「キーワードを分析してピンポイントで出版する」まるで転職サイトやクレジットカードの比較サイトのアフィリエイターみたいな連中と同じ手法で生み出される出版物の数々。

それが一体どういうものかを可視化したらこうなる。

これこそが日本の出版文化に引導を渡した最大の要因だ。

 

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愛国、アニメ、少女、NGワードの連呼絶叫。

今流行の読者目線・お客様の声をフルに盛り込んだ傑作がこれらの著作物らしいけど、これ出版した奴は「馬鹿じゃないのか」「これはマズイだろう」と思わなかったんだろう。

そして本は売れなくなった。

 

読者目線やお客様の声というのを多くの人は勘違いしているけど、ほとんどの客は無言で満足しているし、可視化されたそれはすでに本当のお客や読者のものからかけ離れている。

在特会に入ってるようなやつや、Twitterで一日中他人に愛国クソリプを送りつけている奴、ブログのコメント欄で暴れてる連中は、その出版社の大切な顧客だったんだろうか?

 

むしろこういうのの本質は「読者視点」や「お客様目線」という既存顧客の刺激ニュアンスより、新規開拓の意味を含んでいる。

新規開拓でクズを寄せ集めておれおれ詐欺みたいな新ビジネスを発掘して、今までのまともなビジネスの客は離れていった。

 

こ↓のお客様の声をまじめに分析するような奴に良い出版物は出せない。

 

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「1911人中1835人が参考になったと投票しています」と書いてあるこうした「お客様の声」は一言で言えば馬鹿の声だ。

バカにならないために本を読んでいた既存顧客がそこの本を買うわけがない。

 

文化に大事なのはみんなの声じゃなくて自分の声だ。

 

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歓喜天gundari熱斗茶浴 Recent comment authors
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熱斗茶浴
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熱斗茶浴

工数がかかりますが、学術書の準漫画化などはどうでしょう。
今出ている類似品は手抜きしすぎて効果がないですけど。完成度を高めれば国力の増大に寄与すると思います。
洋書だと独習が前提になっていたりして詳細な記述なんですが、日本の学術書は講義で使うレジュメみたいなもんなので中身がとにかく不親切です。
もちろん、軌道に乗れるまで投資が続くかという問題はあります。

歓喜天
Guest
歓喜天

紙書籍の損益分岐点は7千部程度と聞きます。出版社はそれなりのヤツを採用しているはずなんですが、どうしてうまくいかないんでしょうかね。本屋・コンビニでよく見かけるのがダイエット本(糖質制限・ちょっとした食事)と子供狙い?の妖怪百科。前者にはとんちんかんなものが多く(下手すると健康を損ねる)、後者は一冊読めば中身はどれも同じ。特に後者だが、決して小遣いが多いとは言えない子供(=未来のお客様候補)に出版への幻滅を与えかねない。
どんな商売も栄枯盛衰あるんでしょうが、紙出版社は淘汰されるのでしょうか。7千部以上の購買力があるならアマゾンの電子書籍のほうが書き手にはいいでしょうし。